FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Category: スポンサー広告
Published on: --,  -- -- --:--
  • Comment: closed
  • Trackback: closed

革命◇シンデレラ

フルート島から届いた知らせ
↓↓

(ヴァレリーは元気でやっているかしら?)
花瓶に花をいけるテレジアは、この同じ空の下、同じように眠るヴァレリーの身を案じる。

ミゲルがアルバンタ王国にきてから、まだわずか幾日。けれど城の中が明るくなったのは一目瞭然だった。
使用人をはじめ、執事のベッサー、そして若い騎士たち。
稽古場の近くを通ると、威勢のいい声が聞こえてくる。

交通の不便が生じたという、予測できない事態だったけれど、アルバンタ王国の中に、新しい風が吹いていたのはたしかだった。
「テレジア様」
振り返ったそこには、ベッサーの姿。
彼の手の中には一枚の紙があった。そこにあったのは、海の真ん中にあるポツンとある小さな、フルート島から届いた手紙。
それはデルソート国とアルバンタ王国を結ぶ国としてある。
ベッサーの手から封筒をうけとる。差出人は、剣闘競技連盟。
確かにその名は聞いているけれど・・・・・・・。

[明日、正午にて、剣闘大会 予選選抜を、決行する事に決定致しました。]
公式文書を見たテレジアは、驚いた。
一体、いつこんな事が決定してしまったのか。今この国で、大会選手に選抜できる騎士なんて一人だって・・・・・・。
まさかと頭によぎったのはミゲル。けれど彼はこの国の騎士ではない。
そもそも、大会に参加する義理もなにもない。
思いながら、テレジアの足は稽古場へと急いでいた。

息を切らしながらテレジアは稽古場にきたけれど、そこにはミゲルの姿はなかった。
城の中を探しながらもミゲルの部屋につくと、呼吸をととのへノックした。
すぐに返事が返ってきたので、そのドアをあけた。

「これを・・・・・・」
テレジアの手の中にある公式文書を確認したミゲルは驚かなかった。
その態度をみたテレジアは、確信をもったようだった。
でも、どうミゲルに口をだしていいのかが分からなかった。いつも頑張っている騎士達の事を卑下するつもりはこれっぽっちだってない。けれどその腕が大会に出場できる程の腕前かくらいテレジアだってわかる。
「明日、正午、予選選抜隊が、フルート島から派遣されます」
テレジアの不安げな顔をみたミゲルはふわりと笑う。
「予選選抜を通過さえすれば、ひと月の猶予がある」
テレジアがみた文章にはどこにもそんな事が書いてなかった、だから知ることもなかった。
でも、ミゲルと言葉は、テレジアを冷静にしていった。
「通過するには、それなりの戦力が必要とされます」
ミゲルは、テレジアの態度さえ想定していたようだった。
その表情を見ると、不安はあるけれど、また新しくミゲルが吹かせる風を見てみたい、そう思った。


よく朝、テレジアは早い時間から稽古場にいた。

騎士達の威勢のいい声が聞こえるその前にミゲルはいた。
そしてテレジアの姿を視界にとらえたミゲルは、騎士達を集めた。
「テレジア王女」
影から見守るように覗いていたテレジアを呼ぶと、ゆっくりと騎士達の前に立った。
その手のなかには、昨夜ミゲルに見せた一枚の手紙。ミゲルに促されるようにその文章を読み上げると、騎士達の中で驚きの声があがった。

想定内だとばかりにミゲルは騎士達の声を静める。
シンとなった所で、ミゲルは、騎士達の中から、三人の男を選んだ。
名前を呼ばれ一歩前にでた騎士達は、まだこの状況が把握できてないようで、戸惑いの感情を表にだす。
その中には、あの時、立ちきれない気持ちを持ちながらも一枚の紙を捨てた騎士もいる。

けれどすぐにこみ上げてきた感情は、胸の底で眠りあきらめていた感情だった。
自分の中の剣をみると実感がこみ上げてきたようで、歓喜の声をあげた。



そして正午になる一時間前。
テレジアは、一人厨房へといた。
まだ慣れない手つきで、握り飯をにぎり、一生懸命になって形を作る。
中には、海で採れた海藻の味噌煮。そして鳥の卵焼き。失敗を重ねているうちに形よくなっていく物。
側には、大きな木箱。米粒を掌につけては、額をぬぐった。

「テレジア王女」
背中にかけられた声に、猫のように背筋をひくつかせた。振り向いた先にはミゲルがいた。
正午には選抜隊がくる、だから今日は早めの昼飯になるのは朝の時点でわかっていた。
稽古場をぬけたミゲルがテレジアの姿を探したけれど見つからなく、思いついたのがこの場所だった。

テレジアは、細い背中で、失敗の山を隠す。
けれどそれはちっとも隠れてなどなく、ミゲルは笑いながらもテレジアに近づいた。
「よければ味見をしてもかまわない?」
ミゲルの言葉にテレジアは、わっと頬を赤らめる。
「ど、どうぞ・・・・・・」
言ったものの、その表情は不安でいっぱい。
ミゲルが手を伸ばし卵焼きの中のひとつをとった。
「あっ! それはっ!」
テレジアがあっと口をあけた時には、ミゲルの口の中に消えてなくなってしまった。
コクリと喉がなる。よりによって、一番の失敗作をミゲルは選んでしまった。
恥ずかしくてたまらないテレジアは思わず背をむけてしまう。
「美味いよ」
「ほ、本当ですかっ?」
ミゲルの口から出た言葉に、思わずテレジアは振り向いた。
その表情をみた、ミゲルは笑った。
からかわれたかと思っていたテレジアは頬を真っ赤にそめる。

これ以上恥ずかしくて、現実を見ていられないとテレジアの瞳はぎゅっととじられた。
すると、温かい手のひらが触れたのが分かって瞳をあけた。
ミゲルはテレジアの頬についたひとつぶの米つぶをとりあげる。

「嘘じゃないよ」
ミゲルは笑うと、自分が食べた残りの半分を、テレジアの口元にと持っていく。
反射的にテレジアは小さな口をあけるとパクリとそれをほおばった。
「ほらね」

作ったのはテレジアなのに、なぜか得意げにミゲルは笑う。
そして親指についた米粒を舌でぺろりと舐めとった。わっとなったのはテレジアの表情。
はしたない所をみせてしまった羞恥心と、ただ米粒をなめた舌の熱が伝わった気がした。

口の中の卵焼きは、少し甘い。
きっと砂糖をいれすぎたせいだ。

でもテレジアはただ、ごちそうさまと出て行く背中から、目を離せす事ができなかった。

・・・・To Be Continued・・・・・




ランキングに参加してます。もしよければ、よろしくお願い致します。





スポンサーサイト
Category: 革命◇シンデレラ
Published on: Tue,  31 2015 08:01
  • Comment: 0
  • Trackback: 0

- 0 Comments

Post a comment

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。