リアルタイム: キャバ嬢の選択 - スポンサー広告キャバ嬢の選択

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キャバ嬢の選択

重なる糸
↓↓


人通りの多い表通りの昼下がり、季菜は道なりにあるオープンカフェにいた。
昨夜、遅く、新の携帯からメールが入った。
そこには、この場所と時間。二人のランチの約束が示されていた。

眩しい日差しよけに季菜がかけているのはホワイトサングラス。
雑誌をめくる季菜だけれど、その心はここにあらずだった。

「慶・・・・・・」
昨日いきなり現れたホストの名刺を、まだ季菜は捨てることが出来ないでいた。
どうして捨てることができないのかと聞かれても分からない。
新じゃない手の温もりにすがりつきそうになってしまった事にたいして罪悪感があったのかと言われればそうかもしれない。でも、悪いのは自分じゃないんだと思う。

昨日はほとんど眠ることが出来なかった。
あくびの代わりにため息が季菜の口から漏れる。


すると悩みの種である新が真向かいにある席についた。
サングラスを外した季菜に、新はメニューを見せる。
「何食う?」
言いながらも新は、なにを食べようか迷っている。
「新」
「ん?」
「昨日ね……」
週刊誌に新の名前があった事、街で新をみかけた事、そのどちらともにあった女の名前と影。

モヤモヤするなら、潔くきいてしまった方がいい。
「プルルルル……」
季菜が口をひらきかけたその瞬間、新の携帯がなった。

「あ、悪いちょっと出てくる」
季菜が頷くと、新は席から離れた。
せっかく勇気をだして聞こうとおもっていた季菜の心臓が小さくなる。
しばらくして戻ってきた新は、季菜の顔をみるなりバツが悪そうにした。

「打ち合わせが入った」
多分季菜の機嫌が悪くなるとおもったのか、新は表情を伺っている。
「ぜんぜん、気にしないで」
この言葉は、今の季菜の本心だった。
注文をする事ないまま、店をでると、新は季菜をひきよせた。
「夜、時間つくる」
頬に触れるか触れないかの熱を落とす。ちいさく季菜は頷く。
車に乗り込み去っていく新を見送った季菜は、その姿がみえなくなった所で息をついた。

新の様子を伺っても、何か隠しているようには見えなかった。
やっぱり、自分の思いすごしに違いない。そう思ったら、新にこれ以上何を言う事もないだろうと思った。
自ら火を注ぐことはしたくない。所詮週刊誌に書かれていた事だし、時間がたてば、そんな話題もなくなるだろうと。

季菜は背中をむけた所で、タイミングよく、クラクションがなった。反射的にふりむいた季菜の視界に、見覚えのある顔があった。
「何してんの?」
軽い口調は昨夜と変わらない。
昨日の醜態の事もあって、関わりたくないと思った季菜は、その声に背中をむけると歩き出した。
けれど同じような速度を保ちつつ、その声はついてくる。
高級車なんて新で見慣れているけれど、街の視線は黙っちゃいない。

明らかに向けられる視線の数に、季菜の足は止まってしまった。
「何の用ですか?」
あくまで視線は前に。
「今日も暇してんの?」
「してません」
やっぱりこんな奴付き合ってなんていられないと再び季菜の足は歩き出す。
「姫嬢の季菜ちゃん」
思わず呼ばれた名前に、季菜は振り向いた。
すると慶は、こっちに来てとでもいうように手招きをした。それに従うのは癪でしかなかったけれど、集められる視線を気にしてか、側にと寄った。


「モデルやってくんない?」
想像もつかなかった言葉に、季菜は思わず固まった。
「はっ? えっ?」
意識を取り戻した季菜の様子を見て笑った慶。
「む、無理っ」
モデルの世界がどんな世界かなんて季菜は知らないけれど、決して馬鹿にできるようなものじゃないのはわかる。
それがとても厳しい世界だというのは、きっと同じ。
一体何のつもりで慶がこんな話しをしたのか全く意味は分からないけれど、間違ってもこの返事に頷いちゃいけない事だけはわかる。
だから帰ろうと思った季菜、でもその手を慶は掴んだ。
「一度きり。それでいいから」
さっきまでチャラそうに見えた慶が、この一瞬、違った瞳に見えた。

でも断ろうとしたその瞬間、ビルの上の大きなパネルに、エマが映った。
別に対抗意識が芽生えた訳じゃない。そんな軽々しく踏み込んでいい世界でもない。


言葉の季菜の表情をみた慶は、また元の顔つきに戻る。

この人がどんな人なのかも知らない。でも嘘をついている様な悪い人には見えなかった。
慶の手は、空いている助手席に季菜を促す。
小さな季菜の手は、きゅっと握られていた。



……To Be Continued…





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  •   13, 2015 08:51
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