リアルタイム: 革命◇シンデレラ - スポンサー広告革命◇シンデレラ

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革命◇シンデレラ

静かなるひずめの音
↓↓

その日、テレジアは朝からため息をついていた。
窓の外は晴れていて、メイド達は相変わらず明るい。なのにテレジアの顔はさみしそうだった。
「テレジア様」
ミゲルに声をかけられたテレジアは、振り向く。
「どうしました?」
ミゲルの言葉にテレジアは、もう一度窓の外を見る。
「・・・・・・ううん、何でもないの」

剣闘大会の祝いをした時、テレジアはとても喜んでいた。
でも、もしかしたら、まだテレジアは何か言えない秘密を胸に秘めているのかと思った。
テレジアの力になりたい。そう思った想いは少しずつ形を変え、今、ミゲルの胸の中にいる。それに気づかない振りをしていたけれど、もうそろそろそれも終わりにしたい、そう気持ちが変わりはじめていた。

「話してくれませんか?」
どんな些細な事でもいい、どんなくだらない事でもいい。
(俺に、話して欲しい・・・・・・)
そう、まっすぐに見つめた。





荷物の入った大きめのバックを指さしたミゲル。それに従うようにテレジアは差し出す。

メーリング王国に、たった一人で乗り込んだヴァレリーの身を、テレジアはずっと心配していた。
ヴァレリーに手紙を書いたあの時から、テレジアの中でずっと決意があった。
たった一目、遠くからでかまわない、ヴァレリーをこの目で見たかった。

けれど自分はこの国の王女、そしてヴァレリーに託された身。
だから今まで、ずっとこの気持ちを我慢してきた。手紙をかくたび、会いたくて、会いたくて仕方なくて、それでも我慢した。

「ヴァレリーに逢いたい」
それが、テレジアの願いだった。

「本当に構わないのですか?」
荷物を肩にかけたミゲルの背中に声をかける。
ミゲルに促されるようにテレジアは自分の想いを打ち明けた。
「はい」
テレジアの言葉にミゲルの出した答えは、自分も一緒について行く事だった。
まだテレジアに何も話していない。
だからメーリング城へと行く道中で、全てを打ち明けようと思った。
馬車に乗った二人をベッサーは見送る。
「くれぐれも、テレジア様をよろしくお願い致します」
ミゲルがこの国に来て、まださほど経ってはいないけれど、ミゲルの信頼は、国の王女を託されても構わない所まできていた。

「エイル」
見送りに来ていた中には、ミゲルの事を慕っているエイルもいた。
すぐに戻ってくるけれど、ミゲルはエイルに、自分がすべきことを口にした。それを真剣に聞いていたエイルは、ミゲルの話しが終わると、深く頭を下げた。



ベッサーの言葉にミゲルは深く頭を下げると、ゆっくりと馬車を走らせた。

走り出した馬車の景色をみるテレジアの表情は柔らかい。
メーリング王国にいるヴァレリーに会えるのを、純粋に楽しみにしていると分かる。
「テレジア王女」
外の景色をみていたテレジアが、ミゲルの言葉に振り向いた。
「話したい事があるんです」
ミゲルの言葉に頷くテレジア。

テレジアの瞳は、まっすぐにミゲルを見つめる。
それはとても綺麗で、人々がそういうように、まるで宝石をとじこめている様な美しさだった。
その瞳を見たミゲルは、いざ話そうとした口が開かない事に驚いた。
「ミゲル様?」
テレジアは心配そうに顔をうかがう。
なぜ話す事ができないのだろう。あと何時間もすれば、この馬車はメーリング王国に到着してしまう。
そしてそこにはルイ王子がいて、ヴァレリーがいる。
その前に自分の口から、きちんと話さなきゃいけない。なのに、どうしてか言葉が出てこない。

自分自身が、あまりにも驚いているミゲルの手をそっと包んだ。
(もし・・・・・・)
テレジアが心配していたのは、目に見えて分かっていたのに、どうして話さなかったのかと問われた時、うまく答えを返せる自信がなかった。
「ミゲル様?」
ふわりとテレジアの背に手が回った。
突然のことに驚いたテレジアの体はかたくなる。この抱きしめてくるあたたかなぬくもりは?

(俺は・・・・・・)
真実を打ち明けたとき、テレジアが自分を今まで通り受け入れてくれるのかと気持ちの中の不安が立ち込めた。
テレジアの体に、自分のものじゃない香りがつく。抱きしめられているその背に手をまわしていいのか? わからなくてきゅっと小さなこぶしが握られる。

「ミゲル様」
動転する気持ちの中に、わかっている事が、たったひとつだけテレジアの中にあった。

(・・・・・・すき)
そう一途な気持ちだった。

やり場に困っていた手は、ゆっくりとミゲルの背にまわった。
かたく緊張していた柔らかい体は、ゆっくりとそれをほぐした。
思いに応えてくれたテレジアの温度が愛おしい。けれどその体をミゲルはゆっくりと離した。

(駄目だ・・・・・・)
テレジアはアルバンタ王国の王女だ。自分なんかが想いをよせていい女じゃない。
気付いた瞬間に分かっていたはずだ。

一国の騎士、それだけの称号を持つ自分なんかじゃなく、もっと相応しい男がいるはず。
こんなにも近くにいて、たった今、触れたばかりだけれど、きっとテレジアをあっと言う間にさらって幸せにする男がどこかにいる、そしてそれは間違っても自分じゃない事は分かる。

メーリング王国の騎士。
その称号を恥じた事は生まれて一度だってない。
なのにミゲルの口から、真実が明かされる事はなかった。

いつも明るいミゲルの様子が変わったことにテレジアはすぐに気付いた。
シンとした中、馬のヒズメの音が静かになる。
狭い一本道、出会ったふたつの馬車。その交差するひずめの音は、アルバンタ王国とメーリング王国を交差していた事を知らないまま、すれ違っていた。


・・・・To Be Continued・・・・・


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  •   15, 2015 07:09
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