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キャバ嬢の選択


予測不可な展開

↓↓

スタジオから季菜が出てきたのは、夕方近くの事だった。
一度受けたからには中途半端な事は出来ない、そんなスタンスの季菜は短時間でスタッフとも打ち解けた。

「疲れたなあ」
背伸びをする季菜、慶の言葉にのせられた形になりはしたけれど、正直楽しかったと心の中では思っていた。
何着も衣装を着ることができたし、周りのスタッフが絶賛するたび、気分だってノっていた。
(でも、たった一ページするのに、あれだけ時間がかかるものなんだ)
靴だって、アクセサリーだって何パターン撮ったか分からないくらい。けれどこれがプロ達の世界なんだと思ったら納得もできたし、尊敬もできた。エマの事が気にならないといえばそうじゃないけれど、とりあえず今の季菜はそんな事を考える気分じゃなかった。

すこし歩いた所でタクシーを拾おうとする季菜に、バックから携帯の着信が聞こえた。
そういえば新が連絡をしてくるはずだったと思い出した季菜は急いで手を伸ばした。
「もしもし?」
まさか今まで、慶と一緒にいたなんて口がさけても言えない。
「何してんの?」
「えっ? あ、出かけてたよ」
咄嗟に口からでた言葉の先が思い浮かばない。
「今、どこ?」
「え? 今?」
辺りを見渡した季菜は答えに困る。
「えっと、ここはね・・・・・・」
ここじゃまずい、何がまずいか分からないけれど、マズイ。どうしよう、何て言おう。
慶と一緒にいた。ただそれだけだけど、新に言えない。そんな時、季菜の後方から声がしたのが分かった。
携帯を持ったまま振り向いた季菜はぎょっとした。

さっき、撮影が終わって別れたばかりの慶がスタジオから季菜を呼んでいた。
「あ、新、ごめんっ、後でかけなおすね!」
新の返事を待たないまま季菜は携帯を切った。
急いで慶のもとまで戻る季菜に、慶が差し出したのは一枚の封筒だった。
「はい、これ」
分からないまま手にとって中を確認してみると、ギャラが入っていた。
別にもらうつもりで受けたわけじゃないけれど、つっかえしてもきっと手の中に戻ってくると思った季菜は素直に受け取ることにした。
「次は無いですよ」
今回限りだときちんと言っておかなきゃいけない。
季菜の言葉をうけとった慶は、笑をみせた。

昨夜、新にかけ直すと言ったけれど、季菜は結局朝を向かえていた。
別に隠し事なんて大層なものじゃないけれど、なぜか気分が晴れない。だから朝から季菜はため息ばかりついていた。
「あーもう、やめやめっ」
昨日の事はすっぱり忘れよう。懸命に頭をふった季菜は着替えをすますなり部屋から出て行った。

行くあてもないまま街をぶらぶらとしていた季菜の時計は、昼近くになっていた。
(お昼、どうしようかな)
そう言えば、朝食だってたべてない。一人でランチも悪くないけれどどうせなら誰かと食べた方がおいしいに決まってる。
思った季菜が真っ先に頭に浮かべたのが新の顔だった。
昨日の事もあるし、話しを途中にさせてしまった謝りの言葉だってすませてない。季菜の指先は新の名前を探した。
それと同時、携帯の液晶が着信を知らせた。
「沙油からだ」
沙油の名前を見てしまった季菜は、すこし迷ったようにしていたが、出る事にしたようだった。

ファミレスに着くなり広げられた雑誌に、季菜の目は点になった。
「何、これ?」
言ったのは沙油だけど、聞きたいのは季菜も同じだった。
今、一番人気の雑誌、【Butterfly】それは季菜だってよく購入していた。
ただ問題はその先にあった。沙油の指先は表紙を指している。そこには表紙を飾っている季菜の姿があった。
「えっ? ちょっと待って」
季菜は沙油から雑誌を取り上げると、ペラペラとページをめくった。
そこには昨日、慶と撮影した全てが掲載されていた。
空いた口がふさがらない季菜の指先は、同じページをいったりきたりとしては、その自分の姿を確認している。
確かにモデルを頼まれた。たった一度、そう言われて昨日ちゃんと終わりの言葉も慶に伝えたはず。
「私、ぜんぜん聞いてない」
沙油の台詞を、そっくりそのまま、慶にぶつけてやりたい。思った季菜は携帯を握り締めた。

それとほぼ同時のタイミングで着信がなった。表示されていたのは新の名前だった。
明らかに季菜は動揺していた。沙油を目の前に、携帯を手に。慶の言葉をゆっくりと思い出してもそれらしい事は聞いていなかった。もう一度雑誌に目を通した季菜。そこにはやっぱり季菜がいた。
「とりあえず、出たら?」
着信の相手が新だと言う事は、すでに沙油にも分かっているよう。
季菜は沙油の言葉に促されるように電話にでた。
「もしもし?」
「今、どこ?」
「あー、今、沙油とお茶してて・・・・・・」
この短時間に、なかなか機転がきかない季菜、すると横から窓をトントンと叩く音がした。
(あ、新っ)
笑う新は、いったいどこまで知っているのか、分からない季菜に冷ややかな汗がつたった。

テーブルの上には、同じ表紙した雑誌が並んでいた。
新が席についた時から、いれかわる様に沙油はいなくなっていた。だから今、この場にいるのは二人だけ。
「俺、聞いてたっけ?」
ほんのわずか前、同じ台詞を沙油に吐かれていた季菜。ゆっくりと顔をあげた新の表情はよめない。
怒っているのか、そうでないのか、分からないから余計にこわい。
何を言っても言い訳にしか聞こえない。そもそものきっかけは、エマといる二人の姿を見た事。
そして慶に会い、ひょんな事からモデルを頼まれた。そしてOKした。
でも、それをどう伝えても、理解に苦しむのは目に見えてる。
「ごめん・・・・・・」
新に、ちゃんと言えなかったのは、自分の中でわずかでも、やましい思いがあったからだ。
記事や、世間にふりまわされずに、新だけを信じてればよかった。
謝ったまま、季菜は頭をあげようとしない。
一度息をついた新は席をたつと、季菜の腕をゆっくり掴んだ。
「出るぞ」
その声は、側にいる季菜にしか届かなかった。

……To Be Continued…


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Category: キャバ嬢の選択
Published on: Fri,  30 2015 23:08
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