リアルタイム: 革命◇シンデレラ - スポンサー広告革命◇シンデレラ

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革命◇シンデレラ

バラの棘
↓↓
テレジアが姿を消してから、二時間。
ミゲルは、城の中にいた。
この二時間で分かったことは、テレジアが消えたと言う事実だけ。

集まる民衆のなかに紛れ、人ひとりをひっそりと盗むことはそう難しいことじゃない。
今日、ここにルーシーが姿を現すことも、どこからか情報を入手していたに違いない。
なにより、運が悪かったのは、ルーシーとテレジアは、面影が似ていることだった。

「ミゲル」
今、ミゲルとルーシーは、同じ部屋の中にいた。
ルーシーの誘拐の疑いはもはや確実と言っていい。だからルーシーをミゲルの側に置くのは当然のこと。
もし、テレジアが王女である事を公言すれば、大騒ぎになるだけでなく、テレジアの身が危なくなるのは目に見えている。

ルーシーは、白い手のひらを、ミゲルの額にそっと触れさそうとする、けれどそれをミゲルは拒否した。
「やめてくれ」
ルーシーの誘拐を防げたのは不幸中の幸いだった。
そう思う心と同時、なぜテレジアなんだと思わずにいられない自分の感情が醜い。

背を向けたミゲルの腰に、そっとルーシーの手がまわりつく。
「ミゲル」
数年前、もう何度となく、呼ばれていた言葉。
ルーシーの声は、甘くやわらかい。
腰にまわされた手は、ミゲルを離さない、側にいて欲しいという。

「ミゲル隊長」
ノックもせずに入ってきたガブリエルの声。そのとたん、ミゲルは、するりとルーシーの腕の中から抜け出した。
「何か分かったんだな」
ミゲルの言葉に、頷いたガブリエルは、言葉を続ける。
「この写真を」
ミゲルに渡された手の中にある写真には、子供の風船から手が離れる一画の瞬間を捕らえている。
その左端、確かにテレジアが写っていた。
意識を失ったその瞬間、両脇に腕をまわされ、次の瞬間、いなくなるほんの数秒前のこと。

ミゲルは、ガブリエルから写真をしゃくりとり上げると、長い廊下を駆け抜けていった。
ミゲルがいなくなった部屋で、風が通り過ぎる感触をただ、ルーシーは感じていた。


高い窓から日が差していた光が、少しずつ落ちていくのが分かる。

テレジアの中で、もう逃げ出そうとする勇気は残っていなかった。
ただ、ひざをかかえ、顔をしたに、うずくめる。
ものひとつにおびえ、ねずみの声ひとつで、横になり背をつけ瞼を閉じる。

(あきらめちゃ駄目よ・・・・・・きっと助けてくれる)
時間がたつにつれ、願いは、小さく儚く散っていく。
ここかどこか分からない。千里眼でもないミゲルがどうしてこの場所を見つけられるのだろう。
思いは、希望から絶望に変わっていく。

(ヴァレリー・・・・・・)
たった二人だけの姉妹。
「・・・・・・っふ・・・・・・」
顔を覆うその手のひらの中で、堪えきれなくなった嗚咽が、漏れた。

小さな小屋で、いつだれが、鍵をもって、ここを開けてしまうかわからない恐怖。
こんな孤独を体験したことのないテレジアはもう限界だった。

そんな時だった。
二人分の会話がテレジアに聞こえてきた。
嗚咽をのどにしまいこむと、息を止めるように耳をすました。

「人違いだと?」
聞き覚えのある声に、テレジアの心臓は飛び上がりそうになる。自分をさらったあの男だ。
「はっ、はい! 城の中にルーシーが入るのを目撃したと」
「バカ野郎!!」
怒鳴り吐く声に、恐怖でテレジアの瞳孔が開く。

自分とルーシーが入れ間違っている事に気づかれた。
それだけ分かればテレジアは先の未来が分かった気がした。
気が動転するなか、再び、テーブルの方へと視線をやる。このまま何もしなくても未来が決まってしまうのならば、今、頭の中にあることに賭けてみても同じことだ。

意を決したように、起き上がると、テーブルを窓の下へと持ってきた。
そして、椅子に手をかけると、それを上に置く。
テレジアの軽い体は、テーブルの上にふわりと足をかけ、椅子の上にと立ち上がった。さっきまで遠かった窓が、すぐ側、手の届く位置にある。
ドアの外では、今もまだ言い争いをする声。
テレジアは、窓に手をかけると、薄暗くなるその中にと飛び込んだ。



「ヴァレリー?」

バラの棘をハサミで切り取るその手に、小さな血がにじむ。
本を読んでいたルイが、心配そうにヴァレリーの顔を覗き込む。
「どうした?」
「・・・・・・さっきから嫌な予感がするの」
胸に手をやるヴァレリーの顔色はひどく悪い。
ただの嫌な予感じゃないことくらいヴァレリーは分かっているようだった。
産まれる前から二人一緒だったテレジアの事は、離れていてもなぜか分かる時があった。それは二人が双子でシンクロしているのだと昔聞いたことがある。
それをうれしく思ったこともあったけれど、今のこの予感は・・・・・・。

「テレジアに、何かあったんだわ」
ヴァレリーはぎゅっとルイの手を握り締める。
「行かなくちゃ・・・・・・テレジアが危ない・・・・・・」
ヴァレリーの瞳に、迷いはなかった。
「分かった。すぐに出発だ」

それは日が落ちてくるまで、すぐの頃だった。


・・・To Be Continued・・・・・


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  •   05, 2016 19:49
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