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革命◇シンデレラ

すくわれた糸
↓↓↓ 擦り傷の足。
薄暗くなる視界。
前を見ても、後ろを見ても分からない世界。
品がある靴は、泥にまみれ、白い足は、湿気につつまれる。
上を見上げたテレジアの視界に広がるのは、解かされ吸い込まれていきそうな森の世界。
何度息を吸って吐いたか分からない。それでも吸わずにいられずにまた吐いては呼吸が上がる。
でも後ろを振り返る勇気はなかった。ただ、必死にテレジアは走り続けた。


「大丈夫か?」
馬車の中で青白い顔をさせるヴァレリーを心配そうにルイは伺う。
言葉に出せない不安を、ヴァレリーは頷くことで返答を返した。
幼少期ころ、ヴァレリーはこれと同じような体験をしたことがあった。
遊びに夢中になりすぎた自分が道に迷ってしまったとき、それを助けに飛び出したテレジアの行方が分からなくなって大騒ぎになったことがある。
ヴァレリーが保護されるも、テレジアはまだ見つからずにいた。
城の中で待つヴァレリーの足がふと痛みを感じたとき、なぜかテレジアの身に何かあったと幼きながらも感じながらテレジアの帰りを待った。

雨が降ってきた中、保護されたテレジアが帰ってきたとき、痛みを感じたヴァレリーと同じ場所をテレジアは怪我していた。

それと同じ痛みが、今、ヴァレリーの体の中にある。
どこが痛むとか、そんなんじゃない。体中の感情が不安と恐怖に包まれているのが分かる。
心臓の音が加速しすぎて止まってしまいそうになる。
聞こえないはずの鼓膜から、テレジアの叫びが伝わってくる。

「恐い・・・・・・助けて・・・・・・」
ヴァレリーの口からテレジアの叫びが零れる。
危険などなにもないこの馬車の中で不安と恐怖に押しつぶされそうになるヴァレリーは、どうしようもない時間のなかで、不安を紛らわせるようにルイの手をぎゅっと握り締めた。

多い茂る森の中を進んでいくテレジアが上を見上げた頃、日の光はすっかりと見えなくなっていた。

地形をしらない自分と、追ってくる男たちのどちらが優勢かは頭で考えなくても分かる。
何人追いかけてくるかも分からない。
だからいくら擦り傷が増えようと、服が泥だらけになろうと、立ち止まるわけにはいかなかった。

――――どれくらい走ったかも分からない。
続く緊張のせいで、テレジア喉はカラカラに渇いていた。
水が欲しいと思うけれど、辺りを見回してもそんな場所は見当たらない。
このまま前に進んでいいのか、それともこの道が間違っているのか、それさえも分からない。
後ろから、前から、いつ魔の手がのびて自分をさらっていきそうな恐怖に体が震える。

こみ上げてくる涙を飲み込む。
もし、たった一滴を流すと、止められないことは分かっていた。

城を飛び出したミゲルは、暗い視界の中、森の奥にある一軒の小屋の周りを囲んでいた。
辺りはシンと静まり返っている。
そっとミゲルがドアに手をかけると鍵はかかっていない。
静かに中に体を滑り込ませたミゲルに続いて、隊員が入る。

中は湿気ていてカビくさい。でも、人の気配はなさそうだった。
ミゲルはテーブルの上にある、古びた瓶を手にとって遠く鼻を近づけにおいをかいですぐに気がついたようだった。間違いない場所だと。

扉を開け中に入る。そこはテレジアが監禁されていた部屋。
姿が見えない事に、ミゲルの感情は大きく揺れる。張った緊張の糸がプツリと切れそうになる。けれど窓へと続くテレジアの痕跡を見つけた。

ミゲルはすぐに隊員を集める。
「ここからは、分かれて捜索を始める」
ミゲルの言葉に、返答をかえした隊員は、四方に散っていった。

頭上を見上げると、頬に雨があたった。
それはゆっくりと音をたてていく。緑の葉に雨音をたてる音は、次第に加速していく。

「まずいな…………」
ただでさえ、この暗闇のせいで捜索が困難な上に雨が降ってくれば、確実にテレジアの体力と体温を奪うのは目に見えている。
テレジアは、この森になれていないどころか、歩くことにも慣れていない。

小屋から出たテレジアが何処に行ったのか検討もつかないけれど、ミゲルの足は、駆け出した。

小雨から、あっという間に大雨にと姿を変えたなか、ミゲルはテレジアの名前を呼び続けた。
ミゲルの服は雨水を吸収し、重さを増していく。走ろうとすれば、足に絡むようにそれを邪魔される気がする。それでもミゲルは、走りテレジアの名前を呼び続けた。

背中で呼吸するミゲル。体から吹き出た汗が、雨水と混じりとけていく。
口から呼吸する息とともに吐き出されるのは、奪われていく体力か、押し寄せてくる不安か分からない。

(テレジア様・・・・・・)
息を吐いて、またその足を出そうとするミゲルの視界の片隅に何か入った気がして、視線を移した。
それはほんの僅かな隙間。まさか、嘘だと疑う思考をかき消せないまま見えたのは、テレジアの服だった。

目を見開いたミゲルは、思い切り地を蹴った。

「テレジア様!!」
そこには確かにテレジアがいた。
大きな木を傘にするように、横たわっている。
「テレジア様!!」
抱き上げるテレジアの意識はない。
胸に耳をやってみるけれど雨音にかけ消されてしまう。今にも飛び出さんとする動機が、ミゲルの鼓膜を刺激する。
体温を感じたくても降ってくる雨に奪われてその熱は儚く散ってしまう。


何度呼びかけても返事のないテレジア。腕のなかにいるテレジアの姿にミゲルは血の気が引く思いがした。
テレジアの白い足は、傷だらけになっていた。
ピタリと体にはりついた服はどろだらけに、細く綺麗な手は、じゃまな枝木を掴んだせいで擦り傷だらけに。ミゲルは、テレジアの華奢な手をゆっくりと掴むと、きゅっと握り締めた。
着ていた上着を脱ぐと、テレジアに着せた。そしてその体を背におぶった。

「テレジア様、もう大丈夫です」

気を失っているテレジアへとミゲルは、声をかける。
まよいの森のなか、ミゲルの足は、確かに前にと進み始めた。

・・・To Be Continued・・・・・


ランキングに参加してます。もしよければ、よろしくお願い致します。


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Category: 革命◇シンデレラ
Published on: Sun,  12 2016 19:44
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