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革命◇シンデレラ

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素材6

胸の中の警告音 

↓↓ (ちょっとした余興って言ってたけど……)
ヴァレリーは、ホールへと繋がる扉の前で、ルイの言葉を思いだしては、嫌な予感しか浮かばない。
まだ、扉を開いていないのに、その向こう側で、人々がそれぞれの時間を楽しんでいる様が聞こえてくる。

その隣で、テレジアは、まだ見ぬその向こう側に緊張している様子。

「ヴァレリー様、テレジア様」
使用人が二人に声をかける。この扉を開けるという合図にヴァレリーは息を吸い込んだ。

二人がかりで、ゆっくりと開けられた扉の向こうがわ。から、わっと歓声が沸いた。
まぶしい照明が二人を照らし出す。その圧倒される光景に、テレジアは、ヴァレリーの手をきゅっと握り締めた。

圧倒的な人々の視線が、一斉に向けられた。
驚き、前に出ることが出来ないでいると、ルイと、ミゲルが、そっと二人の手を取った。
その手は、二人に安心して前に進めと言っている。
それを汲んだように、手を握り返すと、ゆっくりと、落ち着いて歩いてゆける歩幅で、前にと進んでいく。

「大丈夫か?」
隣を歩くルイは、緊張している事をとうに見越しているようで、その表情を楽しんでいる。
「だ、大丈夫よ」
当たっているだけに強がってみせてみるけど、帰ってくる反応は、ヴァレリーが想像したどうりのものだった。

「テレジア様」
そっと、隣からかかる声。
「は、はい」
「大丈夫です、俺がついてます」
小さなテレジアの手を、離さないからと、握ってくる手。ただ握っているだけなのに、その手は温かく、緊張をほぐしているのが分かる。
人びとが空けた道を歩いていけば、ヴァレリーとテレジアは、壇上の上にと上がっていた。

さっきまで握られていた手が離れたと思えば、ルイは、二人の王女の紹介と祝福の拍手を求めた。
その瞬間、一斉に拍手がホールの中を包み込んだ。
それに促されるように、テレジアと二人、丁寧におじぎをする。人々は二人の顔を見比べて、その顔のそっくりさに驚きの声をあげる。もし、ドレスも何もかも一緒で、髪をあげていたら、きっと分からないはずだと。

この間は、ダンスのパートナーだったけれど、今回は、公式でのお披露目の場と言うことになる。
ルイは、二人の紹介を済ませると、壇上の上から降ろした。

ホールの中には、多くの人の他に、広いテーブルの上に、上品な料理か並べられてある。
ワインを手に運んでいる使用人から、ルイは、ふたつグラスを取ると、ヴァレリーに差し出した。

「ありがとう」
そう言って口につけるヴァレリー。喉の中にしみこんでくるアルコールが熱く感じる。
壇上から降りたヴァレリーの周りに人が集まる。王子がじきじきに紹介をしたのだから無理もない。
けっして場馴れしていないわけじゃないけれど、双方から飛ぶように話しかけてくる人々の声に、ヴァレリーは、愛想を振りまくことしかできそうになかった。

アルコールが苦手なために、ドリンクを取りにいってくれたミゲルを待つテレジアは、こんな人の大勢いる場所で心細さを感じていた。
右を見ても、左を見ても、知らない人ばかり。使用人さえも見知った顔はない。
パーティーひとつをとっても、アルバンタ王国とは違うことに、テレジアは、驚くばかり。
そんな時だった。入り口が、何やら騒がしくなったのをテレジアは感じた。

「ルーシー様だ」
誰かがそう言ったのが分かった。そしてそれはしっかりとテレジアの耳に聞こえていた。
歩く道のりが開くので、ルーシーの居場所はすぐに分かった。

何故か緊張したテレジアは、コクリと喉をならした。そしてその瞳に、ルーシーが映った瞬間だった。
ルーシーの視線は、まっすぐに自分に向けられているのが分かり、テレジアは、ドレスをつまむと、ゆっくりとお辞儀をした。
見た事もない。話したこともない。なのに視界に入るルーシーの姿に、心臓の音が警告をする。

「テレジア・モレッツと申します」
「エドワーズ・ルーシーよ、初めまして」
テレジアは、決して自分を卑下しているわけではない。
けれどルーシーを見て、どうしてか気後れしてしまっていた。

「ミゲルを知らない?」
容易く呼ばれたミゲルの名に、テレジアの心臓はドキリとした。
ただ名前を呼んで、どこにいるかと聞いただけだ。どこにでも転がっているような問いなのに、さっき胸の中で鳴った警告音がまた大きく鳴った気がした。
「え……あの……」
言葉をはきだすのをためらっていると、その背中に声がかかった。
振り向くと、手にドリンクを持っているミゲルがいた。
「はい」
「あ、ありがとう」
今の一瞬で、喉が渇いた気がして、テレジアは手にとるなり、すぐにグラスに口をつけた。

「ミゲル」
そう呼んだルーシーは、テレジアの前を通りすぎると、ミゲルの腕にするりと手を伸ばした。
「ルーシー」
つかまれた腕を、ミゲルは離す。
そんな二人の光景は、テレジアの目に映った。胸の奥がツキンと響いた。
まだ会ったばかりのルーシーと、映るミゲルの姿に、胸がしめつけられた。

「テレジア様」
ミゲルに呼ばれてハッとする。
「ご、ごめんなさいっ」
言葉を吐き出すように、背中を見せその場から、逃げるようにテレジアは走り出した。

ホールを抜けたテレジアは、長い廊下を歩いていた。

二人の事は、なにも知らない。分かっている事と言えば、親しげに呼んでいるただそれだけだ。でもルーシーとミゲルの間で、自分には分からない関係があるんだと、あの一瞬で感じた。
それは、到底かなわないものだと、本能で察したから、あの場にいる事ができなかった。

「とてもお似合いだわ、あの二人」
歩くテレジアの耳に、後ろを歩いている貴婦人達の声が聞こえる。
ただの噂ばなしだ。
そう思いながら歩くテレジアの耳に、貴婦人達の声は、すれ違いざまに入ってくる。

「アルバンタ王国って、あの……?」
話ごえは、はっきり聞こえるわけじゃない。
「あの国は貧困で……」
なのに、話している内容が分かってしまう、できるなら、聞きたくない……。


「テレジア様」
呼ばれた声に振り向くと、ガブリエルが立っていた。
「顔色が悪いですが、大丈夫ですか?」
「あ……ごめんなさい大丈夫です」
その言葉が、嘘かどうかは、ガブリエルにはすぐ分かったようだった。
だからガブリエルは、テレジアに、無理やりにでも部屋に戻るように勧めた。

どうやって、歩いて部屋に戻ったのかも覚えていないくらいだったけれど、ドアを閉めるその瞬間まで、ガブリエルが心配して様子を伺っていたのは微かに覚えている。

(心配させてしまったわ)

せっかく、自分達のためにしてくれたのに、あんな風に逃げ出してしまった事に、罪悪感を感じた。
でも、あれ以上二人の姿を見たくなかった。それが嫉妬だと分かってしまった。それが醜くて耐えられない。
そう逃げたくなったんだと思った。

「テレジア様」
ドアの向こうから聞こえるミゲルの声に、テレジアは、体を起こした。
「はい」
テレジアからの返事は、ドアを開けられないまま聞こえてくる。
「大丈夫ですか?」
「……はい」
こんな顔、見られたくない。
テレジアは、はいと応えながら、ミゲルが帰ることを思わず願ってしまった。
シンとした空気が流れたけれど、ミゲルの言葉がそれをやぶった。
「何かあれば、すぐに言ってください」
「分かりました……」

テレジアの言葉の後、ドアの向こうでミゲルの足が遠ざかっていくのが分かった。

コツっとドアに頭をおいた。
優しさに触れてから、気づいた気持ちは、大きくなって、ついさっき触れたと思った。
なのに、胸の痛みは、ずっとずっとテレジアの中で大きくなっていくような気がした。

・・・To Be Continued・・・・・






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Category: 革命◇シンデレラ
Published on: Thu,  22 2016 22:33
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