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革命◇シンデレラ

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素材1

すれ違う糸
↓↓ あの夜から、数日、テレジアが窓の外を見ている姿をよく見かけるようになった。
テレジアの様子がおかしいことに当に気づいているヴァレリーだけど、その理由が分からない。
あの夜、何気に会話をしていた。大きな出来事は何もなかったはずだ。
でも気づけばテレジアはいなくなっていた。そしてガブリエルにテレジアの様子を聞いた。


テレジアは、心配させまいとすると、大切な事を内に秘める癖がある。それは、テレジアが、ガルム・リットンとあった出来事の時のように。
心配なヴァレリーは、テレジアに城のすぐそばにある、花壇園に誘った。
子供達が遊べる遊具がいくつかと、綺麗に手入れされた花壇。
数箇所に設置されているベンチに、腰掛けるとすぐにテレジアの側に寄ってきた幼子が話しかけた。
どうやら一緒に遊ぼうと言っているようで、受け入れたテレジアは手を引くなり側を離れた。


「浮かない顔だな」
いつもふらりと現れるルイに、今日は驚かない。さっきテレジアの座っていた場所に腰を下ろしたルイ。
その言葉に、ヴァレリーはため息をついた。

ヴァレリーの中で、ひとつだけ気になる噂話を聞いたのだ。
「ルーシーって、ミゲルとどういう関係?」
それはテレジアが気にしては、口に出せない事。
(たしか話の中では、元婚約者だって聞いたけど……)
元と言うことは、もうすでに終わっている縁だ。それをテレジアが気にしているということは、実はまだその関係は続いていると言う事なのか……。ヴァレリーはルイからの言葉を待つ間に、考えた。

「ルーシーは、財閥の一人娘で、確かにミゲルの婚約者だった」
ルイの言葉は、確かに二人の関係が過去だといっている。
「うん」
何が原因で、なんて聞いても大丈夫だろうか?ミゲルにとってはプライベートな事で、聞かないほうがいいかもしれないけれど、それがテレジアの悩みの原因なら、知りたいと思った。
「……なにか、結婚できない理由でも?」
財閥の娘ならば、ミゲルの相手にとっても何も不都合はないはず。
ルイは、考えるそぶりをみせたが、ゆっくりとテレジアの方をみた。
「しいていうなら、あーいう所だ」
ルイの視線に沿う様にヴァレリーはテレジアの方をみたけれど、そこには何の変哲もない光景がある。
花かんむりを作った子供が、それをテレジアの頭にふわりと乗せた。テレジアは笑うと、ありがとうと言っている。そんな光景があるだけだった。

考えても分からないヴァレリーだが、ルイはそれ以上言ってくれなかった。

結局、ヴァレリーの欲しかった答えは得られぬままに夜になってしまった。
テレジアの様子はあいかわらず。けれどそれをヴァレリーに心配させまいと普段通りに振舞おうとしている姿。
なんとかして、テレジアの思いを知りたい。そして何か悩んでいるのならば、それを助けたい。
そんなヴァレリーの思いを知らずにいるテレジアは、気がつくと、窓の外を見ていた。

ミゲルの事を知っているつもりでいた。たったひとつの表情を見つけるたび、嬉しかった。
あの夜から始まった胸の中のモヤモヤが治まらない。婚約していたと聞いたとき、納得した自分がいた。二人の距離にも確かに出ていたからだ。

伸ばす手にためらいがない事も、呼ぶ名前に親密感がある事も、見て聞けばすぐに分かった。
そしたら、近かった距離があっと言う間に遠くに行ってしまった気がした。
触れていた温度が、ほかの人の物かもしれないという思いが頭から消えない。
すくなくとも、ルーシーはそうだと分かった。


「テレジア様」
ふと横にいたミゲルの気配に全く気づかなかったテレジアは驚いてしまった。
あの夜から、ミゲルとはまともに顔をあわせていない。それは彼が忙しかったのもあるけれど、テレジアが意図的にそうしていた部分もあった。
ほんの少し前なら、ミゲルが横にいてくれるだけで、落ち着けた。胸が温かく感じた。
けれど、今胸の中を満たすのは、しめつけられるような思い。

テレジアの様子があまりよくない事は、ヴァレリーとルイから聞いている。
だからそっと、テレジアのおでこに触れようとした。
スッと、テレジアの顔がミゲルの手を拒んだ。それに一番驚いていたのはテレジアだった。
なんてことをしてしまったんだろう。それと同時にどうして自分はそんな事をしてしまったのか分からなかった。
「ご、ごめんなさい……」
どうしよう、自分の心が制御できない。平静でいられる自信がない。
テレジアはミゲルの方をみる事ができなかった。その手は、ちいさく震えている。

ルーシーの事が気になってしょうがない。気にするなと思うのに、頭の中で消していくたびに、浮かびあがる。
それは醜い嫉妬心だ。

―――嫉妬心だ。

感情が抑えきれなくなったのか、テレジアの瞳から涙が零れた。
「――っ!」
テレジアは、驚いた様子で、頬の涙を拭おうとした。その手をミゲルに掴まれる。

「見ないで……っ」

(こんな私を、見ないで―――)

掴まれている手から逃れようとする、けれどいつもにない力でミゲルはそれを拒んだ。
もしかしたら、テレジアが逃げるかもしれない。そんな思いがミゲルの頭に過ぎったのかもしれない。
ぎゅっと、ミゲルはテレジアを抱きしめた。逃げないように、離さないように……強く抱きしめた。

「っふ……っ」
まだテレジアの瞳から涙が零れ続けている。
この場から逃げ出したい。次から次に零れ落ちる醜い嫉妬心に気づかれたくない。
なのに、ミゲルの力はゆるむことなく、テレジアを抱きしめてくる。

胸の中で嗚咽を吐き出すテレジアに、ミゲルは何も言わない。
ただその力をゆるめることはなく、この手の中から逃げ出してしまわないとように、しっかりと捕まえている。

涙と一緒にテレジアの情緒も少しだけれど落ち着いたのか、それがミゲルにも伝わったようだった。
そっと腕の力を緩めたミゲル。
テレジアの頬に手をやると、まだ乾いていない涙の痕で濡れてしまう。泣き腫れたテレジアの顔が美しくミゲルの瞳の中に映る。
どうして泣いているのかが分からない。でも何故かは聞いてはいけない気がした。

けれどテレジアをこのままになんて出来るはずがない。今にも再び泣いてしまいそうで、ミゲルはたまらず彼女の首を引き寄せた。
すると、テレジアは胸の中で首を振った。ゆっくりとミゲルの腕の中から抜け出す。
それはまるで拒絶を表しているように。

(愛している……私はこの人を愛してしまった……)
ふっと現れたルーシー。もしこの人の口から諦めなければいけない言葉を聴いてしまっても、それを受け入れる自信がない。

もう後には引けないくらいに、この人を愛している――……。

緩んだ手の力。少しでも思いが通じていると思っていたテレジアからの拒絶に、ミゲルは、立ち去るその姿を追いかけることができなかった。


・・・To Be Continued・・・・・



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Category: 革命◇シンデレラ
Published on: Wed,  28 2016 20:18
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