リアルタイム: 革命◇シンデレラ - スポンサー広告革命◇シンデレラ

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革命◇シンデレラ



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視線の先の視線
↓↓↓
パーティからの数日後の午後、ミゲルはルーシーの家の警備をしていた。

ルーシーは勿論の事、王子の側近騎士と言う肩書きはルーシーの両親からの信用も厚い。
ミゲルの個人的な意見を置いておくとしたならば、ルーシーは勿論、両親さえも二人の復縁を願っていた。
だから今回の警護も、ルーシーの両親から直々に頼まれた事。だからこの役はミゲル意外には務まらない。

ミゲルは、ルーシーの家の庭にある大きな木を目の前に、あの日のテレジアの事を思い出していた。

テレジアと会って、彼女の心に触れ、その体温に触れ、分かりかけていたものが、あの時から分からなくなっていた。
手からすり抜けていったテレジアの背中が見えなくなったとき、どうして引き止めなかったんだと後悔をした。
泣き腫れた顔をみたとき、なぜ泣いているだと問いだ出さなかったかのかと……。

「ミゲル」
家の中にミゲルが居ない事に気づいたルーシーが、側に寄ってくる。
「中に入りましょう」
いいながら、そっと腕に手をからめようとしてくる。
その手から逃れたミゲル。だけどルーシーの事だ、自分が入らないといえば、彼女も入らないだろう。それでは警護の意味がない。外にいるより、中に居た方が安全なんてことは常識の範疇だ。
「分かった」
ミゲルはルーシーの言葉に促されるように、家の中にと入っていった。

一方で、城にいるテレジアは、今日の朝、目覚めたとき、ミゲルが居ないと聞いてほっとしていた。
気持ちが制御できなくて、まるで癇癪を起こしてしまったかの様な失態をミゲルの目の前で犯してしまった。
でもそんな事、絶対ヴァレリーになんて話せない、そんな事を聞いてしまったら、きっと夜も眠れなくなってしまうだろう。
だから、ヴァレリーにはあの日の事は何も話していない。

何も知らないヴァレリーは、しばらく顔をだしていない、酒場のアメリアのところに行ってしまった。

ルイと言えば、アルバンタ王国に向けて出発していた。
メーリング王国の者を幾人か送っていたけれど、自身の指揮のもとで、王国の再生を手かげるためにいくのだと、ヴァレリーに聞いた。

だから、今、城の中にはテレジアが一人。話し相手もいないけれど、今日はそれでいいような気がしていた。
使用人から、昼の食事を用意されたけれど、あまり食欲もわかない。
そんな感じで過ごして、午後二時半が過ぎたころ、窓の外から見える所に、馬車が止まった。

けれどテレジアは気づいていない。部屋の中でいるとますます気分が落ち込んでしまいそうだと思い、庭に出ていた。

(いい天気だわ)
手をかざすと、隙間から太陽の陽が零れる。気持ちいい、そんな事をテレジアが思った時だった。

歩いていたテレジアの足が、止まった。その視線は、ほんの数メートル離れた場所を歩いている者に向けられていた。
(ルーシー………)
できれば、この国で一番会いたくなかった。
眩しい日差しから身を守るために手に持つのは日傘。その横にいるミゲルの方へと一瞬視線がいくけれど、自然にテレジアはそらした。
「ごきげんよう」
ルーシーの言葉に応えるように頭を軽くさげた。
ミゲルとは、あの時から顔をあわしていない。
この場から逃げ出してしまいたい、振り向いて後ろに逃げてもいい、そのまま前を歩いて、二人を通りぬけてもいい、なんでもいいからこの場所から逃げ出してしまいたい、そう思った。
けれどそんなテレジアの思いをとどめさせたのは、ルーシーの言葉だった。

「今日は、こんなにお天気がいいんですもの。一緒にお茶でもいかがかしら?」

温かい日差し。テーブルには、カップが3つと、一口サイズの茶菓子。
どうしてこんな事になっているんだろうか。テレジアは思うように会話が出てこない。
周りの景色をみて、ルーシーの言葉に相槌をうつ。そんな事をさっきから続けている。

この場から逃げ出したいのに、まるで椅子に縛り付けられているように立つことができない。

そんなテレジアの瞳には、楽しげに会話をするルーシーの姿がうつる。
話の途中で、ミゲルに触れるのは、昔からの癖なのだろうか、その光景に目をふせたくなる。

「ミゲル様」
執事がミゲルを呼ぶ。
耳打ちすると、ミゲルは分かったと頷いた。
「すぐ戻ります」
ミゲルは、テレジアにそう言うと腰をあげた。

はい、と言うしかないテレジアは、ルーシーと二人きりになってしまった。
どっと脈が速くなった気がした。肩書きだけ取るならば、決して劣らないはずなのに、この場に緊張の糸が引かれた気がする。

「ミゲルって、優しいでしょう?」
それは唐突な言葉だった。
「……はい」
ひとつの会話に過ぎないはずなのに、胸がざわつく。
もし、ここにヴァレリーが居たら、どんな機転が利くだろう。うまい具合に話をもりあげてくれるに違いない。
早く戻ってきてくれないだろうかと、テレジアは心底思った。

テレジアが知らないミゲルとの色々な出来事を、細かく話していく。それは出会いの浅い自分にとって仕方のない事。
分かっているはずなのに、笑顔がひきつってしまう。
「ほら、これもミゲルが……」
ドレスの中、チェーンをたぐり胸元から出してきたものは、光輝くダイヤのネックレス。
「素敵……ですね」
噂話は聞いたけれど、それもただの噂話にすぎない、今ルーシーの言葉を聴けばきくほど、二人の事が分からなくなる。
まだ二人の仲は続いていて、そこに愛はあるのだ……そう思って仕方なくなる。

二人の会話の中に、失礼しますとの、使用人の声がかかる。
その手は空になった、ティーカップに、新しく紅茶を注ぎいれる。
「熱っ」
声をあげたのは、ルーシーだった。
突然の突風で、目に小さなごみが入った使用人の手元がくるい、ルーシーの手元に紅茶をかけてしまった。
「も、申し訳ありませんっ!!」
使用人は、真っ青な表情をさせた。
あまりの表情に、テレジアは仲裁の言葉をさしいれた。
「だ、大丈夫で……」
「クビよ」
さらりと言ってのけたルーシーの台詞が、三人の中に響いた。
「そ、そんな」
使用人は、突然告げられた解雇の言葉に、信じられないように、首をふる。
「ちょっと、待ってください」
いくらなんでも、やりすぎだ。突風と同時に起こった彼女の小さな異変はこの場の誰もが少し考えれば分かることだ。目の中に何か入れば誰だって手元をくるわせる。
テレジアは、ルーシーをなだめようと声をかけるけれど、それを当然だと思っているルーシーは意見をかえようとしない。
(どうしよう、このままじゃこの人が……)
使用人は、絶望したように膝をついた。
いくらルーシーだと言ったって、そんな勝手が許されるものか。
「待ってください」
テレジアは、使用人をかばうように、ルーシーの前に立った。
「あなたは、氷を持ってきて」
テレジアは、使用人の手を握り、大丈夫だとなだめるような声で、そうこの場から行かせた。
「なんのつもりかしら」
ルーシーは、気に入らないようにテレジアを見ている。
「あんまりです、あの方は一番に貴方に謝りました」
「だから何?」
ルーシーから出てきた言葉に、テレジアは驚いてしまう。
もしあの使用人が傍若無人な態度で、謝らないのであれば別だけれど、本当に心から謝って反省しているのは目に見えて分かった。
身分が上だからと言って、あんな風に人権を無視するような事は、少なくともアルバンタ王国ではさせない。
「そんな事、私がさせません」
テレジアは真っ直ぐにルーシーを見つめた。
あまりの処罰を目の前に見せ付けられて無視なんて出来るはずがない。
すると、ルーシーは、可笑しかったのか、クスリと笑った。
「何が可笑しいのでしょうか」
「たかだか、あんな落ちぶれた国の王女様が何を言うかと思ったら」
テレジアの手が、ぎゅっと握られた。
そんな事言われなくても分かってる、だから今、人の手を借りてでも立て直そうとしているんだ。

そんな二人の場に、氷を手に持った使用人が再び現れた。
テレジアは、優しくその手から氷を取ると、ルーシーの手に当てようとする、すると、その氷をルーシーは、跳ね除けてしまった。
あまりの光景に、テレジアは言葉を失ってしまう。

「どうした」
私用から戻ってきたミゲルが場に漂う異変に気づく。
パニックになりつつある使用人が、言葉を震わせながらミゲルに状況を説明しようとするが、それを制止したテレジアが、簡単にこの状況を変わりに説明した。
ルーシーの言葉に、反論したけれど、もしかしたら、これがこの国の法かもしれないと言う思いも過ぎった。
ならば、この場で、自分が出来る事はひとつだった。

「お願いします。どうか、どうかこの方に慈悲を……」
テレジアは、頭を深く、深く下げた。
「テレジア様!」
その行動に驚いたのはミゲルだ。
ルーシーは、冷ややかな視線でテレジアを見下ろしている。
一国の王女が簡単に頭を下げている、そこにはプライドもなにもない、そう見えたかもしれない。
けれどテレジアからすれば、そんなものどうでも良かった。今この場において、この使用人を救えるたった一人が自分であるならば。

使用人は、テレジアに頭を下げさせたことにたいして、ますますパニックになっている
「テレジア様!どうか頭を上げてください」

ミゲルは、テレジアの頭を起こさせる。

ルーシーと婚約していた頃、ミゲルは何度もこんな光景を見ていた。
ルーシーの家に居る気に入らない使用人、粗相をした使用人を幾人もクビにするその様を見てきた。
甘やかされて育ってしまったせいか、それをして何も感じない、何も変わらないルーシー。

けれど城の中でもなければ、ルーシーの家の法を変えることは出来なかった。
だから、追い出された使用人を王国系列になるけれど、新しく職を与えていた。

ミゲルは、テレジアにそっと声をかける。
「そんな事、決してしないと誓います」
その言葉を聞いてほっとするテレジア。
使用人は、目まぐるしい状況に置かれてしまい、目の前の線がプツリときれた様に涙する。その涙を優しくテレジアがふきとった。

まだ安定しない使用人の背中をそっとさすりながら、離れるテレジアは、ミゲルにもう一度頭をさげた。

優しいミゲルの視線が、離れていくテレジアの背中を見守る。その光景をじっとルーシーは見ている、その瞳に映る二人の姿が、ルーシーの中でどう映ったのかは分からない。


……To Be Continued…
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  •   04, 2017 09:24
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