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キャバ嬢の選択

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素材8
二つの華
↓↓ 閉めきられたカーテンの隙間から陽の光が差し込む。それが顔に当たると、眩しそうに布団の中に顔を隠した季菜。
まだ寝たりないのか、起きるつもりがないのか、動くそぶりをみせない。

茜が持ち込んできた雑誌のおかげで昨日は大変だった。
店の中にあっという間に話は広がり、一体、新とはどうなっているんだとの質問攻め。

仕事がはじまると、朝の言葉通りに新が現れた。
新がきた事で店の中は、大盛り上がり。自分そっちのけで騒ぐ女の達のテンションについていけなくなった季菜だったけれどそんな事周りが許してくれるはずもなく、加減を超えてしまった季菜は、新につれて帰られる羽目になってしまった。

朝の新の思惑はどうだったか今になってしまっては分からないけれど、隣に新は居ない事は確かだった。
動かなかった布団の中から、季菜が頭を出した。どうやら起きる事にしたようで、その体をゆっくりとベットの上から下ろした。

「――だるぅ」
喉はカラカラ、頭も痛い。そういえば昨日は飲みすぎたんだと、思いだした様で、フラフラとしながら歩くと、冷蔵庫の中の水を取りだし、喉の奥に流し込んだ。

喉が潤ったので、昨日の記憶をゆっくりと辿っていく。
飲みすぎて、新が来て……それから――――。
「あぁ、最悪」
送ってもらった新にベットまで運んでもらったのを思い出した。見下ろしている新の顔は思い出せないけれど、きっと呆れていたはず。

新に連絡してみようか、でも、きっと何か言われてしまうだろう。
携帯を取ってみたけれど、それをもう一度、テーブルの上に置くと、ソファの上で再び、体を寝かせた。
どうしようか……そう迷った季菜は、結局携帯を手に取ると、新に簡単なLINEを送って、置いた。

すぐに返事がこないだろうと、浴室に行くと、シャワーを浴びだした。
大分すっきりしたところで、カップにアイスコーヒー注いで、ソファに座るとテレビをつけた。
携帯が点滅しているのに気がつくと、手にとってみた。けれどそれは新からの着信ではなく、見た事もない番号だった。

午後二時。
高級店が並ぶ道なりにたたずむ、レストランに季菜は、居た。

落ち着いた白のワンピースを着ている季菜。上品なそれは、季菜のスタイルの良さをよく引き立てている。
店内には、既に色んな人がいる。今日、この店で行われているのは、季菜が掲載された雑誌社のパーティだった。
小さめのワイングラスを、ウエイターから渡された季菜の背中に一人の女性が声をかけてきた。

「季菜さん」
確かこの人は、編集部の一人だ。そう思いながら季菜はお辞儀をする。
「深見です。今日は来てくれてありがとうございます」
「いえ、呼んでいただきこちらこそ、ありがとうございます」
確かに、雑誌の撮影に二度も関わったけれど、こんな場所に来てもいいのか未だに季菜は半信半疑だ。
「季菜さんに、出てもらったページ、凄く反響よかったんですよ」
その言葉に、驚く季菜。けれど確かに街で歩けば、よくも悪くも声をかけられる機会が増えた気がする。

慶のせいで、とんだ目にあったことには間違いないけれど、人から褒められたことに関しては嬉しくない事はない。
「特に新さんの、あのページ!問い合わせが殺到しちゃって」
さすが新だ。そう思う季菜に深見は更に言葉を続ける。
「新さんのあの表情は、季菜さんじゃないと出せませんでしたよ!」
確かに、あのページを見たとき、見惚れてしまった。
でも、あれを自分のおかげだといわれても、いまいちピンとこない。
「私は、何も……」

深見は、撮影の場に顔を出しているだけあって、モデルの表情は勿論、癖も知っている。
新は撮影するとき、いつだってそれを完璧にこなしていた。あの日、季菜が顔を出すまでそれは変わらなかった。
新が、それを分かってやったのか、知らずにそうなってしまったのかは分からないが、あの瞬間の新は季菜あってこそだというのはあの現場にいれば、言わずとも分かった。

「季菜さん、ルックスもスタイルもいいし、モデルの道は考えた事ないんですか?」
深見の言葉に、キョトンとしてしまう。そんな風に思った事なんてなかった。
そもそも今回の発端だって、新とエマと慶に振り回された結果でついてきたようなものだ。
深見が季菜に今回声をかけたのは、季菜の素質をかったのは勿論の事、彼女なら新の知られない部分を引き出す事が出来ると確信があったからだ。
それほどまでに、新の特集は反響は高かった。

そんな風に思っていると、深見は、ある人を発見したようで、呼び寄せるように、手をまねいた。
白い、ミニのワンピースを着ているのは、エマだった。どうしてこんな時に重なるんだと思う。

「季菜さん、エマさんです」
深見による、突然の紹介に、季菜は思わず真顔になった。
「初めまして、エマです」
深見の横にいるのは、確かにエマだ。
「エマさん、季菜さんです」
名前を聞いたあと、少し考えるそぶりを見せたエマ、けれど、すぐにまっすぐに季菜を見つめてきた。
「そう、あの季菜さん」
その瞳の中には、季菜が映っている、言葉を口にださないけれど、何かを考えているのは分かった。
そしてそれは季菜も同じだった。
初めて、真正面から見た気がする。
何かを通してじゃなく、まっすぐにエマを見たのは――――。

深見は、二人を合わせたあと、誰かに呼ばれたようで、二人に頭を軽く下げた後、居なくなった。

今回の雑誌に季菜の顔は勿論、名前のひとつだって出していない。
けれどエマは気づいているようだった。
確かにエマには思う事はありすぎるけれど、こんな場で、こんな状況、季菜の口はなかなか開かないでいる。
二人の間に沈黙が走る――――。

「季菜ちゃん」
振り向いた季菜は、ぎょっとした。
「け、慶」
どうして此処に……?けれどすぐに、その考えを改めた。

(てことは……)
季菜は、周囲を見渡して、一人の男を捜す。
きっといる、ていうか絶対いる。
「新さん」
背後を通してかけられた声に季菜の背筋に緊張が走った。
(やっぱり、居た――)
今にもうな垂れそうな季菜の目の前に新はいた。
それも上質なスーツに身を包んだ。

なんだろう、この居た堪れない感じ。
そう季菜が感じていると、深見が再び戻ってきた。偶然に集まった4人を見比べる。
モデルである新とエマは勿論の事、慶はカメラマンを兼業としている。でも意外な組み合わせに、それぞれの顔を見比べる。

「えっと……」

動揺したいのは、季菜も同じだ。
いきなりエマと会う羽目になったと思ったら、慶
が出てきて、新まで出てきた。
どうしてこんな面子で顔合わせをしなくちゃならないのか。

そんな時だった。
深見が、大きく頭を下げた。
「編集長!」
深見の緊張がありありと伝わってくる。
「新くんか、エマも、慶くんもいるとは、面白い組み合わせだな」
季菜は、みた事はないけれど、他の3人とはどうやら顔見知りのようだった。
「おや、君は……」
まるで観察しているかの様に、季菜を見たあと、納得したように、手を差し出した。
「季菜さんだね」
さすが、編集長だ。掲載されてる季菜を見たのか、すぐに思い出し、握手を求めた。
「季菜です。はじめまして」
「木下だ。ページみたよ、とてもよく撮れていた」
季菜は、丁寧にお礼を言う。

「あぁ、そういえば……」
木下は、そう言いながら、胸ポケットにあるチケットを一枚取り出した。
「貰ったんだが、使う予定がないんでね。良かったら使ってもらえると助かるよ」
差し出した手は、新に向けられている。そしてその視線はそのままエマに自然に流れた。
まるで気持ちを汲み取った様に、エマはお礼を言うと、満足したように木下は去っていった。

この場の自然な空気の流れを人から見ると、新の隣にはエマが映っているんだと思い知らされた。
たかだかページの反響が良かったとはいえ、エマはトップモデル。新の横に立っていたって、何もおかしくない。

「あ、これ新作映画の特別試写会の招待状」
新の横で、当然の権利の如く、口を開くエマ。
胸の奥でつきささる感情はある。けれどここで出す様な真似はしたくない。
だからせめて、自然にこの場から離れたかった。理由は何でもかまわない。

「ほら」
エマの言葉をスルーした新は、季菜の目の前にチケットを見せた。
「見てみろ、いかにもお前が好きそうだな」
新の言葉に流されるように、チケットに視線をやる季菜。
(あ……これ、楽しみにしてた映画……)
二人の雑談の中で、なにげなく出てきた映画の名前、覚えていてくれたんだという思いと同時に、自分に話題を振ってきたことに驚いている。
エマの方をちらりと見てみると、その視線の中には嫉妬の色が入り交ざる。
「空けとくから、忘れんなよ」
「……うん」

そう季菜が頷くと、季菜の肩に軽く手をそえた。
驚いた季菜だけど、その手を払いのけようなんて思うわけなんてない。
私は、俺のモンだ、なんて思いが込められているんじゃないか? そんな事を思ったりしてるなんて知られたら、きっと笑われてしまうだろう。
ごく自然に4人の中から、新は季菜を抜け出さすと、フードコーナーの方に足を向けた。

新は、季菜の手にあるグラスを取り上げる。
「また、泥酔したら、たまんねえからな」
その言葉に、ハッとなる季菜。ほとんど思いだせない昨日の記憶。一体、自分は新にどんな醜態を見せてしまったのだろう。
いますぐどこかに隠れてしまいたいと願う季菜の顔は、恥ずかしさで真っ赤になっていた。



……To Be Continued…







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Published on: Sat,  14 2017 00:05
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