リアルタイム: 革命◇シンデレラ - スポンサー広告革命◇シンデレラ

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革命◇シンデレラ

邏譚撰シ托シ神convert_20170122084923

テレジアからの手紙

↓↓↓
テレジアの口から話を聞いて何日か――。
何かをしなくちゃいけないと思うけれど、何をどう行動すればいいのか分からない上に、今、ルイは不在だ。
頼れる存在もなければ、ミゲルにあれこれと聞くのもどうかと思い、テレジアにああ言ったものの、ヴァレリーは悩んでいた。

いつだってテレジアは、国の事を一番に考えてきた。自分の犠牲をなんとも思わずに、ただ国の事を思ってきたテレジアが、愛と言うものに触れた。それは多分初めての事で、本人さえも戸惑っている。
ルーシーがどんな女性かは分からないけれど、ミゲルを思う気持ちが強すぎて、今のテレジアはいっぱいいっぱいなんだろう。

ほんの小さな事でも分かればと思い、使用人達にそれとなく話しを聞こうと思っていたけれど、けっして口を開くことはなかった。
どうしたものかとも思ったけれど、簡単にクビにするとなどと言い放つルーシーの事が恐ろしいと思っているならば、それも分かる気がした。

テレジアの事を考えるけれど、どうにも答えが見つからないまま陽の下を歩いていると、ふとヴァレリーの足が止まった。
それは、まっすぐに自分に向けられた視線だった。それが重なった瞬間、ヴァレリーには分かった気がした。
この人がルーシーだと―――。

「あら、ごきげんよう」
ルーシーは、ヴァレリーにあいさつを口にした。
初めて会ったはずなのに、まるで見知った顔をみつけたように、あいさつを口にするルーシーをみて、思った。
(もしかして、テレジアと間違えているのかしら?)
それもそのはず、風が気持ちいいからとヴァレリーは、髪を結っていた。
テレジアと交友が少ないルーシーでは、間違えても仕方なかった。

しばらく考えたヴァレリーだけど、ルーシーに向かってゆっくりと微笑みを返した。

日傘をさし、その日差しから身をまもるルーシーを、まっすぐに見返すヴァレリー。
その顔をみると、頭の中に、テレジアの声と言葉、そして泣き顔が見えた。ヴァレリーの細い手は、きゅっと握られる。

「ミゲルはどこかしら?」
そんなヴァレリーの心情をわかるはずもないルーシーは、いつもの様に、そう声をかけた。
「ごめんなさいね、今の今までずっと隣にいたのに、少し離れてしまったの」
それを聞いたルーシーの視線に、嫉妬の色が滲んだのが分かった。
テレジアにした事に、すこしは報えばいい。ヴァレリーはそんな事を思いながらその横を通りすぎる。

「お待ちになられて」
ヴァレリーの背中に声がかかる。それに合わせる様に、ヴァレリーの足も止まった。
ヴァレリーは振り向かないまま、その声に応えた。
「ごめんなさい、忙しいので失礼致します」

ヴァレリーの声に、ルーシーはその場から動かなかった。
そして、その場から離れたところで、ヴァレリーは、背中で息をついた。

(やりすぎたかしら……)
さっきまで、ミゲルと一緒に居たなんて嘘をついてしまった。
こんな事、あくまで自分の中の自己満足だなんて分かっているけれど、少しでもいいから、テレジアの仕返しをしてやりたかった。
もしこんな事ルイに知られてしまったら、馬鹿な事をするなと叱られるかもしれない。
でも、テレジアの泣き顔を思いだすと、思わず口が開いていた。


ヴァレリーが城の中に戻り、廊下を歩いていると、後ろから声がかけられた。
「テレジア様」
それはミゲルの声だった。
思わず振り向いたヴァレリー。

何も言わずただ振り向いただけだったけれど、ミゲルはその瞳を見ると、すぐにそれをヴァレリーだと見抜いた。
「あ、ごめん」
「ううん」
さすがミゲルだと思った。ルーシーは分からなかったのに。
「どうかしたの?」
「――いや、テレジア様は、どんな様子かな」
けっしていいとはいえないだろう。
最近のテレジアは、元気がなく、いつも何か考えている。でもそれを心配させまいとすればするほど、ヴァレリーは心配してしまった。
二人の問題なのだから、この人に全てうちあければ解決するはずだ。そうヴァレリーは思ったりもした。
まっすぐに見てくるミゲルの視線からは真剣さが伝わってくる。
聞かなくてもテレジアの事を思っているのが分かる。

ここで、自分が、テレジアの思いを言ってしまえば簡単な事だろう。
ミゲルの思いを伝えれば、万事がうまく行くかもしれない。
けれど、それをひとつ、ひとつと乗り越えて愛は育っていくものだろうと思う。


「私は、テレジアを任せるなら、それは貴方しか居ないと思ってる」
唐突に、何を言っているんだと思われるかもしれない。
でも、今の自分には、こうしてささやかなきっかけを何度だってつくってあげる事しかできない。

「テレジアは、部屋に居ると思うわ」

「ありがとう」

ミゲルは、テレジアにお礼を言うと、テレジアの部屋にと向かった。


ヴァレリーと話したあと、そのままテレジアの部屋までミゲルはきていた。
何度かノックをしてみたけれど、応答はない。部屋を空けているんだろうかとその手を止め、ドアに背を向けた。
けれどその足がピタリと止まった。ミゲルはもう一度ドアにノックをした後、ドアノブに手をかけた。

部屋の中には誰も居なかった。
けれど、少し前までこの部屋に居たのだろうと思ったのは、その残り香に触れたからだった。
誘われるように中に入るその足は、机の上でピタリと止まった。視線を下におろすと、一枚の紙が目にはいった。

文字が並んでいる。その筆跡はまちがいなく、テレジアのものだった―――。

昼下がり、城から出たひとつの馬車が走っていく。
それは、アルバンタ王国の方角へ、向いていた。

城の中を勢いよく走る姿。
それはあっという間に、外に出ていくと、馬車小屋から一頭の馬にまたがり、猛スピードで駆けていった。

「テレジア?」

もぬけの殻の部屋に、ヴァレリーの声が響く。
何処に行ってしまったのだろう。ミゲルと二人で何処かに行ってしまったのだろうか?そんな事を思いながら、ヴァレリーはもう一度、その名前を呼んだ。


――――今頃、ヴァレリーはあの手紙を読んでいるだろうか……。

この数日、ずっと考えていた。
ミゲルの事ばかり考えている自分。思い通りにいかない感情をもてあまして、とうとう制御さえ出来なくなってしまった。
このままここに居ても、どんどんと感情の深みにはまってぬけだせなくなってしまう。
だから、離れた方がいいと思った。この国から、あの人から……。
城の再建のためにも、自分自身のためにも。
確かに、ルーシーの事はよく思えない所が沢山あるし、好意をもっているかと聞かれれば、言葉につまってしまう。
けれど、自分と同じ、ミゲルを愛しているのだと思うきもちは強く伝わってくる。
嫉妬心を感じているのも、この人の隣に並んでいたいと思う気持ちも一番よく分かってしまう。
それを考えれば考えるほど、自分が小さな人間だと思いしらされた。

国を再建させると誓ったのに、ミゲルしか見えなくなってしまった自分が、情けなくて許せなかった。

だから国に帰ろうと思った。
どんなに時間がかかっても、かならず国を再生してみせると、それまでずっと自分はミゲルを愛しているだろう。
そして、もう一度ミゲルの前に立ちたい。その時は、胸を張っていいたかった。ミゲルに愛していると……。

(ごめんね……、黙って去る私を許して)
そんな事を思っていると、急に馬車が急停車した。
その衝撃は、激しく、テレジアは思わず体勢をくずした。一体何ごとかと思いながら、テレジアはそっと外を見ようとした時だった。

「テレジア様!」
張り上げ、切羽詰った声とともに、テレジアの視界に飛び込んできたのは、ミゲルの姿だった。
よほど急いできたのか、全身で息をしている。
「ミ……ゲル様」
驚いたテレジアは、ミゲルの名前を口にしながら、まだ信じられないとその瞳を振るわせる。

どうしてこの人が現れてしまったのだろう。どうして、この人がこの場所にきてしまったのか。
声を出す事も出来ないくらい驚いているテレジアにミゲルは詰め寄ると、その体を強くひき、抱きしめた。
その現実を受け入られないテレジアは、そのまま、なすがままにされている。

「行くな」
感情からしぼりだされるような、ミゲルの声は、テレジアの体を強くつかんだまま告げられた。

ヴァレリーに向けられたテレジアの手紙には、テレジアの赤裸々な思いが告げられていた。
ミゲルの思い、国の事、ルーシーの事、そして残して去ってしまうヴァレリーの事、ルイへの感謝……。

テレジアは、ミゲルの胸の中でゆっくりと首を振った。
しばらく、会えなくなるだろうこの人に、送るのは泣き顔じゃなくて、笑った顔でいたい。
愛しているからこそ、この人の側を離れるのだ。だから悲しくなんてない。

「お別れです、ミゲル様」

抱きしめているはずなのに、自らの腕で、必死に離すまいと捕まえているはずなのに、ここにテレジアは居ないような気がした。
そして、すぐそこにある別れを、テレジアの口から聞いたとき、ミゲルの感情があふれ出した。

「俺は、――君を愛してる」
だから、行くな。どこにも行くな――――。
そう、ミゲルは、強く強く、テレジアを抱きしめた。


……To Be Continued……








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  •   20, 2017 16:12
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