リアルタイム: 革命◇シンデレラ - スポンサー広告革命◇シンデレラ

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革命◇シンデレラ

邏譚・3_convert_20170128093904

もう一人の救世主
↓↓↓
――今、この人は、何と言ったの――

確かにミゲルの口から出てきたはずの言葉を、これは空耳だと感情が否定する。
そんなテレジアの頬にミゲルはそっと触れる。そして、信じて欲しいといわんばかりに、まっすぐにテレジアの瞳を見ながら、もう一度その言葉を口にする。


「俺は君を愛してる」
二度目の台詞が、テレジアの鼓膜に届いた。

――そんな事、あるはずがない。この人からそんな言葉が出てくるはずがない。
頭の中にルーシーの言葉が蘇ってきては、これは現実であるはずがないんだとテレジアが首を振る。
なのに、テレジアの瞳は、まるで反抗を見せるように、見る見る間に潤んでは、その涙を頬に伝わした。

頬に置いた手を、そのままテレジアの項にそわすと、ゆっくりと引く。
嘘じゃないといわんばかりに、ミゲルの熱が、テレジアの唇に触れた。それはとても甘く優しい。
頬に流れた涙の筋に真新しい跡が通る。

ゆっくりと触れた唇は、その熱を冷ますように離れた。けれどすぐに二度目のついばむような感触がテレジアの唇に触れた。
今度は、少し強引に、熱がからむと、控えめだったテレジアの熱が、ゆっくりとそれにこたえた。

疑心暗鬼だった感情が、ミゲルの思いにふれ、ゆっくりと溶けていく。


この何日か、ずっと触れたくても触れられなかった温もりが今、腕の中にある。

「……っふ」
項にやる手も、離してくれそうにないまま、包み込む温もりも、激しく絡みつく熱も、テレジアの思考をみるみるうちに奪っていく。
足元がおぼつかくなりそうになると、ミゲルはそれをやんわりと支えた。
体の心が熱く火照る。じわじわと浮かび上がる体の奥の何かが、テレジアを蕩けさせては自由を奪う。
甘い束縛から逃げようとするテレジア。
けれど、その熱を離したくないミゲルは、テレジアが何度終わらそうとしても、離してくれそうにない。
とうとう呼吸がおぼつかなくなるテレジアは、やっとと、ミゲルの胸板の間に手をやると、その熱から逃げ出した。それでもまだその腕の中に居て、包まれている感触は変わらない。

火照った体から、甘い吐息が漏れる。
この思いを口にしていいのだろうか。許されるのだろうか。
そう何度胸の中で問いかけていただろう。何度……何度……。
頭の中に、駆け巡る思いが溢れるけれど、ミゲルの思いに応えたい。
そう思ったテレジアは、顔をあげると、ゆっくりとその口を開いた。

「私も、あなたを愛しています」
テレジアは、まっすぐにミゲルを見ながら、その言葉を口にした。
諦めていた思いや、感情、それを拾い集め、たったひとつの言葉にして、それがちゃんとミゲルの元に届くようにと。

たまらないように、ミゲルは再びテレジアを抱きしめる。
今が嘘じゃないと、ここにあるのは、真実だと確かめんとするように……。

「嘘みたいだ――」
抱きしめてくるミゲルが、そうつぶやいた。
腕の中に居るテレジアがほんものであると、そして、その口から聞いた思いが、信じられないと……。

その思いは、テレジアの中にもあるものだった。
ずっと雲の上にいて、届かないだろうと思っていた思いが、この手の中にある。
それは、胸の中で、今もまだ大きく膨らんでいて、もてあましそうなくすぐったさと、強く恋焦がれるような感触を持ち合わせている。

しめつけられていた思いから、解放されると、ふわりと温かいものが、テレジアの心の中に落ちてきた気がした。
だから、テレジアは、そっと目をとじると、静かにつぶやいた。
「――嘘じゃありません……」
そう、自分自身に言い聞かせるように。


アルバンタ王国に来て、早何日か。
ルイは、ハードスケジュールの中に身をおいていた。

このアルバンタ王国で、ルイ自らが指揮をとっていた。
国を再建するためにと、王子の姿が現れるたび、歓声があがるとともに、士気が向上する。

城の中では、使用人達は、ルイを見るたび、黄色い歓声をあげる。
何かひとつと頼みごとをするたびに、その場は戦場と化する。ここにヴァレリーがいたならば、どんな顔をして止めていただろう。
でもそれは、この国ならではの温かさであるような気がした。
執事であるベッサーは、ルイの身の回りの世話を一通り任されていた。

そんな中、合間をぬっては、訪れていたのは、ミゲルが少しの合間だけれど世話をしていたエイルがいる稽古場だった。

「ルイ王子!」
ルイが姿を見せると、迫る健闘大会に向けて練習を重ねているエイル率いる騎士達は、一斉に横並びになっては、敬礼をする。
ミゲルから話を聞いていたルイは、メーリング王国から腕の立つ人選をこの場所につけていた。

初めこそ、ルイは知らないが、話を聞いてみても、その目で確かめてみても、腕は上がっているようだった。
まだ大会までは、日がある。エイルを先頭に伸びしろがある騎士達を育てるのは、この国の中で、ルイの楽しみのひとつだった。
ヴァレリーが居ないこの国で、ヴァレリーの為に国を再建させるために自らが動くルイ。
朝から晩まで、そんなスケジュールをこなし、あっという間に時間はふけていく。
夜になると、いつもヴァレリーの事を思い出していた。

この国に来てから、噂話をふくめ、色んな話を耳にした。
双子であるヴァレリーとテレジアの人柄や、性格、それはどんなにか魅力的だと。
王女と言う立場なのに、けっしてそれをかざしたりしない。
弱気ものを助け、強気ものから守る。
それは、自分自身で見てきたものと、なんら変わりなかった事が嬉しかった。

街中でふと歩いているとき、ヴァレリーの面影に似た人に目を引かれる事が多かったけれど、それももう終わる。
ルイは、書類の山にサインし終えると、ベッサーが持ってきた温かいコーヒーに口をつけた。
自分のやることは、とりあえず終えた。

メーリング王国の者を何人か残して、明日の朝一番にもこの国から出発する予定だ。
やるべき事を終えて、さすがのルイも気が抜けたように、目頭を押さえた。



そんなルイの耳に、なにやら騒がしい様子が部屋の向こうのずっと奥から聞こえた気がした。
気のせいか――、いや、気のせいじゃない。
ルイは、部屋から出ると、その様子は、ますますはっきりとルイの耳に入るようになった。

「王女は何処だ!」
あらぶる声は、長い廊下を通り、張り裂けんばかりに聞こえてくる。
この先に何かあるのは間違いなかった。
歩いていくルイの視線の先に、一人の男と複数の使用人、ベッサーが対応している様子が見えた。

「ルイ王子」
駆けつけたルイに、ベッサーは、申し訳なさそうに、頭をさげる。
それはいいとばかりに、ルイはその男に視線をやった。
すると、ベッサーは、その男にも頭をさげた。
「ヨゼフ王子、こちらはルイ王子でございます」
仮にも王子である二人は、その名前を聞くなり、すぐに双方が何者なのかを理解したようだった。

フルート島の向こう側にあるデルソート王国の第三王子。ヨゼフ・オルコット。

「アンタがメーリング王国のルイ王子か」
真っ黒なごわついた髪に、切れ長の目、ルイよりも体格がいい。歳もいくつか上だろう。
太く低い声。この声がさっきから、長い廊下で響き渡っていたのだ。
「王女に何か用か」
「ヴァレリーは何処だ」
どちらの名前を聞いても、返答しだいでは引かないつもりだったが、ヴァレリーの名前を聞いたルイの視線は一際するどくその男をみた。

「その前に、どんな用なのか、聞かせてもらおうか」
この王国に今、王女は居ない。
そんな中で、別々の国の王子が二人、向かい合わせになっている。
この場を止められる人がいないことは、この場にいるもの全ての人間が分かっている。

「ル、ルイ王子」
さすがのベッサーの声も、弱腰になっている。
ヨゼフを止めるのは到底無理だ、だから少しでも話の分かりそうなルイに声をかけてしまったのだ。
「俺は、この国の救世主だ」
ドヤ顔で言い放つ、ヨゼフ。

アルバンタ王国が貧困で苦しんでいるのは、もはや羞恥の事実だった。
だが、それと同時、同じくして知られている存在が、ヴァレリーとテレジアの二人の王女の存在だった。

若く、誰もが振り向く双子の王女。
その存在をしり、そしてこの国の情勢をしっていれば、あのガルム・リットンのような男は、いくらでも居る。
そして、このヨゼフのお目当ては、テレジアではなく、ヴァレリーだった。

王子である事意外ほとんど知らないこの男の素性のなか、その中でも分かる事といえば、第三王子だけあって、本気でこの男がヴァレリーをうけいれようとすれば、この国に多額の財が流れてくるのは間違いない。
もしこの場にヴァレリーがいて、もしも自分と知り合えていなければ、テレジアの時のように、きっとヴァレリーは決断しただろう。

――もし、知りえていなければだが。

「悪いが、間に合っている」
ルイがそう言い放つけれど、立場的に言えば、同等クラスの人間であって、ルイに遠慮する必要もなければ、ひるむ必要もない。
「てめえには、関係ないっつってんだろ」
ガルムの手が、ルイに伸びる。
シャツをねじると、その手に力をこめた――。
けれどルイは、涼しい顔をみせると、その手をつかんだ。するとゆっくりとそこから手を退かす。
体格的には、ヨゼフの方が大きいはずだ。
なのに、ヨゼフの手は、逆にねじられ、その顔が悲痛に歪んだ瞬間、あっさりと払い退けられてしまった。
その隙をついたルイは、逆にヨゼフのシャツをつかむと、そのまま壁に体を押し当てた。

「この国の再建は、俺が任されている。そしてそれは誰にも譲るつもりはない」
まっすぐにヨゼフをみているが、その瞳は全く笑っていない。
その光景に、ヨゼフは勿論、その場にいる全員がおもわず息を呑んだ。

そして、ルイがその手を緩めた瞬間、ヨゼフはその手を払いのけ、逃げるように立ち去った。


……To Be Continued……

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  •   26, 2017 15:51
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