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革命◇シンデレラ

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二人の王子
↓↓↓ バモフトの様子がおかしい事は、すぐに分かった。
でも、ここはアルバンタ王国ではなく、メーリング王国。自国ではない。
なのに、バモフトのその瞳は、確かにヴァレリーを必要としていたのだ。
それが分かったヴァレリーは、何も分からない事を分かった上で、黙ってその背中に付いて行く事にした。

そして、ヴァレリーがバモフトに案内されたそこには、あの日ルイの前に立っていた、ヨゼフが背中を見せていた。
ヴァレリーは、その背中に、全く見覚えがなかった。
(誰……かしら)
ヴァレリーはその背中を見るだけなのに、なぜか嫌な予感がした。

他は誰も通すなと言われたのか、部屋の外にはバモフトの背中がピタリと張り付いているのが分かった。
それだけで、ヴァレリーはこの男がただの男じゃない事は分かった気がした。
「俺の名は、ヨゼフだ。ヨゼフ・オルコットだ」
(ヨゼフ……?)
聞いた事がある。確か――。
「俺は、デルソート王国の第三王子だ」
その身分を聞き、ヴァレリーは納得がいった。あの国の王子であれば、バモフトが逆らえないのも無理はない。
この城には今、王子が不在だ。だから自分を呼んだんだろうか?でも、それじゃ先にミゲルを呼ぶはずだ。
バモフトにその機転がきかないとは思わない。おそらく、この王子が自分を指名したのだ……。でも何のために?
「わ、私に何の御用でしょうか?」
一体この男の用は、なんだと言うのだろう。全く想像がつかないのがこわかった。
ここは、アルバンタ王国でもない。ましてや、なぜここに自分がいることを知っているのだろう。
考えれば考えるほど、気味が悪くてたまらなくなった。
すると、ヨゼフは何のためらいもなく、ヴァレリーに近寄った。そして細い腕をとった。
彼の目は、うっとりするように細くなった。ヴァレリーは背筋がぞっと凍った気がした。
「想像以上にいい女だ、ヴァレリー王女」
「ヨ、ヨゼフ王子、申し訳ありませんがその手を離してください」
力技で来られると、かなわないのは目に見えている。こんな場所で助けを呼べるすべもなければ、テレジアに気づかれてしまうのもさけたかった。なぜなら自分達は双子だから。
テレジアを見たこの男が、テレジアの方に興味を持たないとは言えない。
ガルム・リットンの時の様な思いは、もう二度とさせたくなかった。

「ヴァレリー王女、俺はお前を迎えにきたんだ」
「――迎えに?」
この男の言っている意味が全く分からない。
「ヨゼフ王子のおっしゃっている意味が分かりません」
すると、ヨゼフは説明してやろうと言うばりの顔をし、ヴァレリーから一度離れた。
「今、アルバンタ王国は窮地の場だろう、それを俺が救ってやろうと言うのだ。つまり俺がお前の夫となるということだ」
ヨゼフの言葉を聞いたヴァレリーは、思っても見なかった台詞に驚いてしまう。
「何を言って……確かにアルバンタ王国は……でも、復興に向かっています!」
「それをどうやって民に証明している。ルイ王子か?」
一体、この男はどこまで知っているのだろう。底知れぬ沼を覗いているようで、ヴァレリーの声は、小さくわかりずらく震えた。
「そうです!ルイ王子が今全力で復興を……」
「それで民の不安は拭えるのか?」
「え……?」
「復興はいつの事になる?今日か?明日か?あさってか?」
「そ、それは……」
すると、離れていた距離をもういちどヨゼフはつめた。
「ヴァレリー、お前が俺のものになると言うのならば、俺は明日、アルバンタ王国を復興させてやろう」
「あ……した……?」
「そうだ、明日だ。デルソート王国の全ての力を使って明日復興させてやろう」
ヴァレリーの頭の中に、計り知れない天秤がぶらさがった。
ルイは、今全力で王国の復興をしてくれている。
でも、この男の言葉が本当で、本当に明日国が復興したら、民はどんなに安心するだろう。
(私は、ルイを愛している……でも、その前に、何万といる民をすべる一人の王女だ)
ヴァレリーは、ヨゼフの言葉に、何も返せなかった。
(私が、私が……我慢すれば、明日国は復興出来る?)
ヨゼフは、ヴァレリーの頬にやんわりと、自分の手を触れさせる。その白い肌にうっとりしつつ、口を開いた。
「さあ、ヴァレリー、俺と一緒に帰るんだ」
(帰る?ヨゼフ王子と一緒に帰れば、明日国が復興する……?)
ヨゼフ王子から差し出されて手、その手にヴァレリーはそっと自分の手を差し出す。

「――――そこまでだ」
聞き覚えのある声に、ヴァレリーのまどろんでいた意識がハッとなった。そしてそれはヨゼフも同じだった。
二人して視線を映すと、そこには、ルイが居た。
「ヨゼフ王子、その汚い手を今すぐ退けてもらおうか」
(ルイ――っ)
嘘か、真か、今ヴァレリーの目の前に、アルバンタ王国で復興に力を注いでいるはずのルイの姿があった。
ルイは、あっと言うまに、ヴァレリーの体を引くと、手が届かないようにと自分の背中にヴァレリーの姿を隠した。
「ヨゼフ王子、俺はハッキリと手を借りる必要はないと言ったはずだが」
(この二人は、すでに会っていたの?でも、いつ?)
ヴァレリーには分からない事ばかりで、状況に付いていけない。
ヨゼフは、ルイがここにこんなに早く戻ってくるとは予想してなかったのか、苦みばしった顔をしている。
ルイは、涼しい顔をしているが、この男がどんな男であるかくらいは、王子の世界であれば知っていてもおかしくはない。
第一線に立って剣をふることはないが、その腕はミゲルをもしのぐと言われている上、知識、冷静さ、どこをとってもずば抜けているのは有名な話だった。
「俺は、ヴァレリー王女に聞いているんだ。明日国を復興させたくはないのか?民は?国を放棄するつもりか王女」
(ちがう、そんな事出来るはずがないっ)
ヴァレリーは、ルイの背中で大きく首を振った。
捨てれるものならば、こんなに悩んだりしない。
放棄するつもりなら、こんな真似なんてするはずない。
でも国を捨てるつもりかと言われたヴァレリーの足は、ヨゼフの思惑通りに、ピクリと動いた。
(わたし……は……)
ヴァレリーの足が、前に進もうとした瞬間だった。
その体を引き寄せ、ルイの唇が、ヴァレリーの唇に重なった。
大きく目を見開いたヨゼフ。
すると、ルイは、ゆっくりとその甘い熱をヴァレリーから離した。
「ヨゼフ王子。悪いが、ヴァレリーは俺のものだ。貴様に渡すつもりはない」
「んなぁぁぁぁっ!!」
ヨゼフ王子が、癇癪を起こし、腰の剣を抜こうとしたその時だった。
ルイの剣の切っ先が、ピタリとヨゼフの喉元にくっついた。
「ヨゼフ王子、これ以上言って分からなければ、俺も容赦をするつもりはない」
ヨゼフは、まだ剣に手さえ届いていない。ルイには遠くかなわずだと判断したように、じわりと汗が頬につたった。
「お帰り願おうか、ヨゼフ王子。そして二度とヴァレリーに近づかないでもらおう」
もしそれを破れば、どうなるか分かっているだろう?ルイの瞳はそう言っていた。



……To Be Continued……
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Category: 革命◇シンデレラ
Published on: Wed,  22 2017 09:53
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