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革命◇シンデレラ

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邏譚・3_convert_20170128093904

トーストと目玉焼き

↓↓↓ 一体……どんな顔をすればいいのか。この国の王子であるルイ自らが指揮を取りアルバンタ王国まで出向き一心に復興に力を注いでくれていた。どうしてあの時、手をさしだしそうになったのか。ルイを信じてないわけじゃない。なのに脳裏に貧困で苦しむ民の姿を思い浮かべた時、どうしようもない決断に迫られたような気がした。

ヨゼフ王子が姿を消した後、ルイの顔をみる事が出来なかったヴァレリーは部屋を飛び出していた。
ヴァレリーの周りはまっくらで、月のあかりがその姿を映していた。

「――ルイ」
ヴァレリーがそう声をこぼすと、暗がりの中から足音と共にルイが現れた。
驚いたヴァレリーは思わず逃げようとする。けれどその手をルイがとめた。

どうしていつも、ただまっすぐにルイを信じる事が出来ないのだろう。ヴァレリーの頬にはもうすでに涙が伝っていた。
「お前がどんなに国を愛しているか、俺は知っている」
ルイの掌はヴァレリーの頭の上に優しく触れていた。その優しさに触れたヴァレリーはもっと涙が溢れた。
そんなヴァレリーの感情ごと包み込むようにルイはぎゅっとその身体を抱きしめた。
「ごめんなさい……」
思わず聞き逃してしまいそうな声は、それでもちゃんとルイに届いていた。
何もいわずとも分かっている。そんな手でルイはヴァレリーの髪に触れた。

部屋に戻ったヴァレリーが一人でいると、テレジアがそっとノックした。
「――入ってもいい?」
テレジアはあくまで控えめにそう言った。
ヴァレリーはその声をそっと中にと促した。
「ルイにとても酷い事をしてしまったわ」
「ヴァレリーの気持ちは私も、ミゲル様も、そしてルイ王子……皆が知ってる。そして同じ気持ちでいるわ」
テレジアはヴァレリーの手をそっと握り締めた。
かつて同じことをしようとした自分には、とくにヴァレリーの気持ちはわかっているつもりだった。だからこそヴァレリーは苦しい事も。
「笑って。ルイ王子がせっかく帰ってきたのに、ヴァレリーの綺麗な顔が見れなくちゃがっかりしてしまうわ」
テレジアは柔らかい頬を包んだ。まるで駄々を捏ねている子供をあやすような柔らかい笑顔で声を出した。
「わかった?」
するとその声に促されるように、ヴァレリーはゆっくりと頷いた。

翌朝、ヴァレリーはまだ誰も起きていない時間から厨房にと居た。
慣れない手つきでフライパンを取り出し、鳥の卵を3つ割った。ジュージューと音を鳴らしながら卵の焼ける様子を確認した後、テーブルの上にある朝食用のパンを焼きはじめた。
朝食用に冷してあったスープをとり出すと、お皿に盛り付けた。まるで大役を成し遂げた様に額の汗を拭うと、ヴァレリーは一息ついた。

ワゴンに朝食を乗せたヴァレリーはそっとルイが座る席に盛り付けた。
(おはようルイ………うん。そんな難しい言葉じゃないわ)
心の中で、何度も同じ言葉を繰り返した。いつもの様に自然に、そして笑顔でと……。
ヴァレリーは決心をしたように息をすいこむと、ルイの居る部屋にと向かおうと振り返った。
「――――っ」
ヴァレリーの目の前にはルイが立っていた。
驚いたヴァレリーは、斜め上を見上げたまま固まっている。するとルイの方が口を開いた。
「早いな」
「う……うん」
ルイは不思議そうな顔を一瞬させると、いつもの様に自分の席に足を向けた。
「あ、あのコレは……」
しどろもどろになっているヴァレリーの前、ルイの視界に入ったのはヴァレリーが用意した朝食のパンとスープ、そして卵の黄身がぺしゃんこになってしまった目玉焼きの三種類。
昨日の事を謝りたいと思うけれどルイ本人を目の前にしてヴァレリーは思うように言葉が出てこない。
それを察したのか、ルイは何も言わずフォークとナイフを手に取った。

そんなルイを目の前にしたヴァレリーは、緊張とこの場の雰囲気に今にも逃げ出してしまいそうだったが、ミゲルとテレジアがタイミングよく姿を現した。すると使用人達がワゴンに乗った朝食を運びはじめた。
ワゴンの上には、本来ルイが食するはずだった朝食が用意されていた。それはヴァレリーが用意したものと比べると雲泥の差である事は間違いなかった。

ミゲルとテレジアが見ても、今日のルイの朝食はまるで一般市民が口にする様な質素な朝食に見えている。けれどそれはヴァレリーが心を込めてルイの為に用意したのだと言うことは言わずとも分かっていた。
とくにテレジアにいたっては、かつて自身がミゲルにそう用意した日の事を思い出されるような感情にさえ包まれていた。

そんな二人の目の前でヴァレリーはと言えば、今すぐにでも、ルイの目の前から全てを消し去ってしまいたい思いに駆られていた。

「ルイ様」
使用人は、ルイの上にある食事を片そうと手を伸ばした。
「いや、かまわない」
けれどその手をルイは止めた。そして再びヴァレリーの用意した朝食を口にしはじめた。
「ずいぶん、上手そうな物食べてんだな」
ミゲルが茶化すようにルイにそう言うと、ルイはナプキンで上品に口元を拭った。
「ああ、お前には絶対にやらん」
そう嬉しそうにルイは笑った気がした。

朝食を済ませると、ミゲルとテレジアは二人して街にと出かけて行ってしまった。
あれだけ必死に用意した朝食だけれど、あまりに緊張しすぎてしまってあの時間の記憶がほとんどないヴァレリー。わけもわからないまま時間だけが過ぎ去ってしまっていた。

部屋の中にいたヴァレリーは一人ため息をついていた。
(なんだか、ただ空周りしただけの様な気がするわ)
上手く感謝の気持ちを表し、テレジアの言うとおりにルイが喜ぶのなら笑顔を見せたかった。
するとそんなヴァレリーの部屋にノックする音が聞こえた。
テレジアとミゲルは城から出ていってしまったはずだ。そう思うと急に緊張が背中に走った気がした。

ゆっくりとドアを開けると、そこにはやっぱりルイが立っていた。

憎まれ口をたたいてみたらいいのか、優しく笑ってみたらいいのか、何が正解か分からなくて、ただ無表情でルイの前に立ち尽くしてしまったヴァレリーの内情は、心臓がドクドクと音を鳴らしていた。
「ちょっと良いか?」
そうルイの言葉に促されるように、ヴァレリーは外に出た。

ルイと一緒に広い庭に出ると、そこには大きな馬が用意されていた。
馬に乗った事がない事はないけれど、久しぶりの感覚に、ヴァレリーは戸惑ってしまう。
「なんだ、乗った事がないのか」
「そ、そんな事ないわよ」
むきになるヴァレリーの表情を楽しむと、ルイは軽々と馬に乗り、ヴァレリーに手を差し伸べた。
「ほら」
ルイの手の上にヴァレリーは手を重ねると、ふわりと体が浮き、あっと言う間にルイの後ろに体が落ち着いた。

二人を乗せた馬はゆっくりと歩いていく。ヴァレリーはルイの背中で緊張を見せていた。そんなヴァレリーを後ろに、ゆっくりとルイは話はじめた。
「やるべき事はやった。物資や資源の流通、交通の便利性や、民の生活や仕事の確保、あとは時間が経つと共に全ての問題は解決していくだろう」
ルイの後ろで聞いていたヴァレリーは、思わずルイをぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう……ありがとうルイ」
ごめんなさいと言う言葉ではなく、一番最初に本当はこの言葉をルイに言いたかった。
いつだって、アルバンタ王国の為に全力をつくしてくれている彼に、心からありがとうと言いたかった。

「……それと、ごめんなさい」
ヴァレリーの言葉を聞いたルイは、馬を止めた。そして先に自分が下りると、ヴァレリーに口を開く。
「その言葉は、もう聞き飽きた」
すると、降りるように手を貸すと、ヴァレリーの顔のすぐ近くにルイの顔があった。
「帰ってきた俺に、まず何か言う事があるんじゃないのか?」
その顔は、にくたらしく笑っている。
言いたい言葉はありすぎるほどあって、一瞬ヴァレリーの頭の中を色んな言葉が巡ったけれど、その中でひとつの言葉を口にした。
「おかえりなさい、ルイ」
ヴァレリーの声に、満足するかと思ったけれど、ルイはまだだと口を開いた。
「足りないな」
そう言うと、待てないとばかりにヴァレリーの唇に熱を重ねた。

……To Be Continued……

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Category: 革命◇シンデレラ
Published on: Thu,  01 2017 12:38
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