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ハッピーエンドの法則 act 11

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15.jpg


読者の皆様
いつも読んでくださってありがとうございます☆

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乃亜の中で氷ついていた感情が、鉄哉の行動や心によってゆっくりと溶けていく。
それは沢山の涙と共に……。
ひとしきり鉄哉の腕の中で泣き終えるあと、ゆっくりとカバンの中にいつも大切に持ち歩いている小さな写真を取り出した。
乃亜から渡された一枚の写真は、日頃撮っている写真のようにくっきりと何かを現わしているものでもなく、色鮮やかな色がついているわけでもなかった。
分かりずらく、一見みただけでは何がなにやら分からないものだった。
「これって……」
それでもうっすらと鉄哉にも分かった。それが乃亜の中にいる小さくて愛おしいわが子だと……。
鉄哉の言葉にゆっくりと乃亜はうなずいた。
「マジか……」
生まれて初めて味わう感情をどう表現していいのか分からず、鉄哉はおもむろに口元に手をやった。
けれど、その感情は確かに乃亜のペタンコのお腹の中にいるその存在に感動していた。

あの日、乃亜が恥ずかしそうにしながらも、自分が喜んでくれると信じて見せようと思っていたそれは、今確かに鉄哉の目の前にほんの僅か成長した姿を見せていた。
「――ごめん」
鉄哉の声が、乃亜の目の前で震えたのが分かった。
もし引き返せるのなら、あの日に帰って全ての言葉を取り消してしまいたかった。
目の前にある現実がどうとではなく、ただ乃亜にぶつけた言葉を消し去ってしまいたかった。
顔をあげない鉄哉がどんな表情をさせているのかは分からない。
けれどその思いは、乃亜の心へと確かに届いていた。
「小さいね」
乃亜の言葉に、鉄哉は顔をあげないまま大きくうなずいた。
「可愛いね」
乃亜の口から続いて出てきた言葉に、何度も何度も鉄哉は頷いた。


鉄哉がこの部屋に来てからどれくらいの時間が経ったか、部屋の窓の外は夕焼けが見えていた。
琉香と一緒にきて、泊まるはずだったこの部屋には、今鉄哉の荷物がある。
3年も一緒に居れば、こんな場面だって何度だってあったはずなのに、乃亜の心は緊張していた。

「あの、お風呂入ってくる?」
先ほど仲居がきて、食事は一時間後だと告げて部屋を出ていった。だからその前に自慢の露天風呂に入ってはどうだと提案していったのだった。
「あ、ああ」
乃亜の緊張がうつったのか、久しぶりのこんな状況に鉄哉自身も戸惑っているのか分からないけれど、あきらかに動揺しているそぶりをみせた。
乃亜に言われるがままに荷物を取り出すと、鉄哉は部屋から出て行った。
残された乃亜は、ほっと息をつくと携帯を手にとると、LINEをひらいた。
送り先は、勿論琉香だ。今回の事に関して、一番世話と心配をかけてしまった琉香に一番に連絡を入れようと思ったのだ。
【てっちゃんと、仲直りしました】
あえて簡素な文を送り付けてしまったのは、まだ自分の中で信じられないと言う思いがあるからだった。
すると、すぐに乃亜の携帯に返信が送られてきた。そこには、泣きのスタンプと喜びのスタンプの連打。あえて文字を送らなかったのは、一度掘り出してしまうと、根深い所まで聞きたくなってしまう琉香の性格的なものだろうと察しがついた。
詳しい話は帰ってからと返信すると、思いを受け取ったのか琉香からのLINEはピタリと止んでしまった。

乃亜は、食事が来る前に露天風呂に入るため、部屋を出ると離れの方へと歩き始めた。
外の気温も安定しているこの季節の露天風呂は乃亜の身体を優しく包んだ。
(部屋に戻ったら、てっちゃんがいる)
ゆっくりと身体を温めると、この後部屋に帰ると鉄哉がいると言う現実をじわじわと感じてしまった。

こんな展開、正直夢にも思ってなかった。
本来ならば、いまここにいるのは親友である琉香だったはず。取り留めない話をしながらも、きっと自分の気持ちを癒してくれていたに違いない。
けれど、そんな展開は180度変わってしまい、気が付くと鉄哉と一泊する事になってしまった。
勿論、三年も付き合っていれば当然二人で旅行する機会にも恵まれたし、お互いの家だって知り尽くしている。
なのに今、乃亜の心臓はまるで付き合った当初のころのように緊張を増していた。
普段通りといくら頭の中で考えても、それがどんな物だったのかさえあやふやな様な気がした。

だんだんと考えているうちにのぼせてしまいそうになり、乃亜は露天風呂から出ると、ゆっくりとその足は鉄哉がいるであろう部屋にと向かっていった。

ゆっくりと部屋をあけると、当然そこには鉄哉の姿と旅館自慢の料理が並んでいた。
向かい合わせに座る、前を向けば鉄哉がいる。そう思うとなんだか目を合わせられない。
「これ、お前好きだろ?少しでも食べれるか?」
鉄哉は自分の皿の中から乃亜の好物を取り、乃亜の皿の上にと置いた。

「うん」
目の前の料理を平らげる事は到底できそうにないけれど、それでも食べれるものはある。
何よりも、鉄哉が自分の事を考えてくれる事が乃亜には嬉しかった。

一度別れてしまったけれど、確かにもう一度お互いの気持ちをほんのついさっき確認できたはずだった。
けれどそれは衝動的な感情もあって、こうして今冷静になればなるほど、なぜかいたたまれない恥ずかしさが乃亜の中に膨らんでいく。

前のように会話が弾む事はないけれど、そんな中でも鉄哉は一生懸命に乃亜に話を振ってくれた。最近の楽しかった事や、珍しかった事、取り留めもない事を話す鉄哉をみたのは、久しぶりの様な気がした。

食事が終わると、襖を隔てた向こう側には二組の布団がくっつけて敷かれていた。
前だったら、二組の布団が敷かれていたとしても使うのはひとつだけで十分だったけれど、今の二人の状況を考えれば戸惑ってしまうのも仕方なかった。

「あ、私はこっちで寝るね」
二人きりの時、こんな言葉をかける事はなかった。自然に二人で身体を寄せ合い、当たり前の様に抱きしめてくれた。
「あ、ああ。分かった」
けれどそんな事を出来るはずもなく、鉄哉はその言葉を受け入れる。
まだ、時間は十分にあるけれど、緊張と気まずさがまじりあい、今までどんな風に鉄哉に甘えてきたのかをまるで忘れてしまったように乃亜は布団の中にと身体を休めた。

乃亜が布団の中にいる中、鉄哉はしばらく明るい部屋で乃亜に背中を見せていた。
布団の中で、寝れるわけもない乃亜は、やっぱりぐるぐると考えていた。明日になれば当然鉄哉とこの旅館をあとにするだろう。この中で微妙な空気が流れているのに、車の中で二人の密室なんて耐えれるのだろうかと頭を悩ませた。

だからと言って、二人でいるのが嫌なわけじゃなかった。
鉄哉にキスをされたあの瞬間、身体中の細胞がふつふつと熱くなっていくのが分かった。付き合っている時、何度だってキスをしたはずなのに、身体に電流が流れたような甘い衝撃が走った。
本当は、触れたい、もっと話したい。そう思うのに、どうしても一度隔てた二人の距離が邪魔をしてしまう。

すると、続き部屋の明かりが消えた。
鉄哉の気配が近づくと、乃亜の隣に敷いてある布団の中に入ったのが背中の気配で分かった。
息を殺したように乃亜は喉をならした。

「乃亜」
すると、乃亜の背中に鉄哉から声がかかった。驚きのあまり声をだせない乃亜。
鉄哉は乃亜が起きているのか、そうでないのかをじっと待っているように感じた。
「なに」
背中ごしに乃亜は鉄哉にかえした。
その声を聴いた鉄哉は、一度息をすいこんだ。胸の中にある緊張の糸を必死におさえようとしていた。そしてゆっくりと口を開いた。
「こっち、来ないか?」
鉄哉の言葉に、胸がドキリとした。
行きたい、そう思った乃亜はゆっくりと振り向き、頷いた。
布団の中からそっと抜け出すと、鉄哉の布団の中にと身体を入れた。初めてでもないのに、心臓がドキドキとなるのが自分でも分かった。でもそれは鉄哉も同じ。
乃亜と仲直りをしたのは、ほんのついさっきの事。どんな些細な事で乃亜が心変わりするかは分からない。
別れた間に見せた、あのあきらめたような冷めた目を、二度と見たくないと思えば、自然に緊張が増した。でも乃亜は狭いシングルの布団の中に、ゆっくりとだけれど入ってきた事が鉄哉にとって、嬉しかった。
「抱きしめていいか?」
「――うん」
別に許可を得る必要もないけれど、鉄哉がそういうと、乃亜はゆっくりとそれに応じた。
さっきまで冷たかった布団の中が嘘みたいにあったかくなった。
ギュッと抱きしめられた感触は、付き合っていた頃と何も変わらない、むしろ愛おしさが増したようにも感じられた。
乃亜は、抱きしめてくる身体に答えるように、鉄哉の背中に手をまわした。

すぐ側にある身体から、鉄哉の匂いが包み込んだ。

乃亜が先に布団に入った間、鉄哉の中で色んな感情が動いていた。
仲直りしたと言えば聞こえはいいけれど、乃亜の反応をみると、全てがそうではないと言う事を思い知らせれた。
もう二度と失いたくない、同じ間違いはしない、そう思いながら……。

抱きしめると、それに応えるように乃亜が抱きしめてくれる。
たかがそんな事なのに、笑えるくらい嬉しい事を、初めてしってしまった様に、静かにかみしめた。





……To Be Continued…



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Category: ハッピーエンドの法則
Published on: Mon,  23 2018 20:38
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